フィリピン反政府運動
フィリピンの反政府運動はイスラム教徒とカトリックの対決の図式でおよそ3世紀に渡り紛争を繰り広げている。16世紀フィリピンを植民地にしていたスペインはフィリピン本島の北部や中央に点在していた部族、モロ族を弾圧しミンダナオ島などの南部に強制移住させる。これ以降3世紀に渡りスペイン軍とモロ族の抗争が始まる。スペインはフィリピン人をカトリックに改宗させイスラム教徒であるモロ族を攻撃。モロ族も報復を繰り返し次第に民族対立から宗教対立の色を濃くしていった。フィリピン独立後の1960年後半には農地改革政策を掲げるフィリピン政府がミンダナオ島に対して入植を開始。この行為がこれまで散発的であった両者の対立を決定的にしモロ族はMNLF(モロ族民族解放戦線)を結成。ミンダナオ島を含む南部14州に自治権を確立するための武装闘争に乗り出していく。

1996年ラモス大統領は14州に対する自治権付与に向けた南フィリピン平和開発協議会を設立。MNLFはその活動を停止し話し合いの席に着く事になる。しかしこの会議と自治権獲得にもかかわらず一連の事態に満足できないMNLFの一部が組織を離反。モロ・イスラム解放戦線(MILF)とイスラム原理主義グループアブ・サヤフを結成。1997年の停戦合意にもかかわらず戦闘を継続している。イスラム原理主義の過激派であるアブ・サヤフはシリアやリビアで聖戦を学び、オサマ・ビンラディン率いるテロ組織アルカイーダとも密接な関係を気付いていた。リーダーはイスラム教伝道師のジンジラニ師でカトリック教徒の集団処刑や爆弾テロなどを続けている。

この事態に変化が生じたのは2001年9月11日。全米同時多発テロによるアメリカ軍のアフガニスタンに対する軍事行動であった。アメリカのブッシュ大統領はテロとの戦争を宣言し、アルカイーダと密接な関わりを持つアブ・サヤフを壊滅する為にフィリピン政府に対して軍事支援を開始。ミンダナオ島を中心としたイスラム過激派潜伏地対に陸軍特殊部隊グリーンベレー、海兵隊を派遣した。フィリピン政府はアメリカ軍のフィリピン撤退後はじめて米軍を受け入れたがアメリカ軍の駐留に神経質な国民に配慮して米軍の活動は軍事顧問としてのもののみにとどまっているがミンダナオ島に於ける一連のテロ組織壊滅作戦は開始した。