US SOCOM
SPECIAL OPERATION COMMAND
U.S. SPECIAL OPERATION COMMAND
US SOCOM
 アメリカ軍の保有する特殊作戦部隊は多くが誕生したベトナム戦争以降1980年代まで陸海空軍の傘下にあり、それぞれが独自の運用、活動を行っていた。1980年4月にイランのテヘランにあるアメリカ大使館が占拠されるとデルタフォースを中心とした特殊部隊を投入したが作戦は多くの不幸な事故の結果、大使館を目前に頓挫、作戦は失敗する事になった。これは投入される特殊部隊に対しそれをサポートする、指揮、管理、輸送部隊の能力が低かったことが要因とされている。 アメリカ軍ではこの失敗を教訓に彼らを管理運営する組織の結成に着手する。また、陸海空の輸送、強襲能力を向上させるための特殊航空作戦部隊の結成を促す結果となった。
1982年には陸軍の特殊部隊を統括する第一特殊作戦軍団(SOC)が設立されアメリカ陸軍の特殊部隊レンジャー、グリーンベレー(SFG)、デルタなどを統合運営することとなった。この間にもアメリカ国外ではレバノンの海兵隊司令部が爆弾テロに見舞われ、237名の海兵隊が死亡するなどテロの脅威が肥大化していった。さらにグレナダ侵攻では各軍の特殊部隊が指揮、命令系統の混乱から損害を大きくしていった。

1984年1月、これらの事態からアメリカ国防省は特殊部隊の統合的な管理、運営を目的とした統合作戦局(JSOA)を設立。レーガン政権になると1987年6月1日には遂に全軍の特殊部隊を運営するアメリカ合衆国特殊作戦軍団US SOCOMが設立された。
SOCOMはフロリダ州マクディール空軍基地に本部を構え通常の軍事作戦の他対テロ、特殊作戦の直接行動に対応する。
米陸軍では既に発足していた陸軍第一特殊作戦軍団の内部にある第1/5/7/10/予備役の特殊作戦グループ(グリーンベレー)、75レンジャー連隊、第4心理作戦グループ、第96民事大隊、第160特殊作戦航空群(SOAR)、ジョンFケネディ特殊作戦センターなどが傘下に加わった。
海軍では1987年4月にアメリカ海軍特殊作戦コマンド(NSWC)を設立。海軍は当初SOCOM傘下には特殊作戦センターのみを統合し、太平洋、大西洋の両艦隊に配属されたSEAL及び特殊船艇団などのSOCOM加入を拒否していた。SEAL及び特殊船艇部隊、NSWユニットがSOCOM傘下に収まるには1988年10月まで待たなければならなかった。
空軍ではMACの流れをくむ第23空軍が1990年5月にAFSOCに昇格した。AFSOCは特殊作戦ヘリコプターなどを運用する特殊作戦航空団や訓練センターを持ち全天候航法が可能な固定、回転翼機を装備している。
現在SOCOMには4万名を超える将兵が任務に従事しており1999年までに149回の援助展開、11回の緊急展開を行った他、17ヵ国に対する麻薬撲滅作戦の実施、63ヵ国の同盟軍との軍事演習などを行っている。また、SOCOMは世界各地域をエリア化し、中央、太平洋、南方、在欧州、大西洋、在韓の各特殊作戦軍団に分担、管理をさせている。
アメリカ合衆国統合部隊コマンド(US JOINT FORECE COMMAND)
1999年10月1日にそれまで大西洋特殊作戦軍団と呼ばれていた組織を改編し統合部隊の訓練、編成の権限を持った。アメリカ本土及び大西洋、南大西洋、北極地域での軍事活動を支援し即応体制を維持している。また戦時下ではアメリカ軍とそれを支援する同盟軍の保有特殊部隊を管理、運用する最高指令組織となり、タスクフォース(特殊作戦、民事、心理作戦)の訓練、組織、管理、運用なども行う。また24時間以内に人道支援チームを投入できる体制にある。
太平洋特殊作戦軍団(SPECIAL OPERATIONS COMMAND PACIFIC COMMAND)
太平洋特殊作戦軍団はハワイ州オアフ島のHMスミス空軍基地に前線司令部を設ける準統一コマンドである。主に世界最大の海である太平洋全域と環太平洋諸国、アジア地域を担当する。インド、パキスタンなど潜在的な驚異を持つ国家が存在するほか近年ではフィリピンやアフガニスタンのテロ対策を行っている。また東南アジア地域における地雷処理なども管理し必要があれば受け入れ国の兵士を訓練する他麻薬撲滅のための戦術訓練や法執行機関の計画策定能力の強化なども行う。
在韓特殊作戦部隊(SPECIAL OPERATIONS COMMAND KOREA)
韓国のヨンサン市に所在する韓国特殊作戦部隊は朝鮮半島有事の際に国連軍の支援及び特殊作戦を遂行する。朝鮮戦争自体が未だ正式に終結していないため複雑な構成で存続されている。有事の際には韓国軍特殊部隊と共にタスクフォースを編成し対処する。また北朝鮮政府の崩壊、核兵器の出国、難民の大量流出など突発的事態に備えるための訓練を行っている。
欧州特殊作戦軍団(SPECIAL OPERATIONS COMMAND EUROPE COMMAND)
アメリカ欧州軍は統合軍の中で2番目に広大な地域を担当している。ヨーロッパ、アフリカ、北欧地域の89ヵ国の国家と10億の人口を抱えるエリアで多民族地域であることから複雑かつ重要な役割を担っている。欧州特殊作戦コマンドの業務としてはアフリカ地域における地雷の除去及び人道支援、同盟各国の部隊即応力を向上させるための訓練などを行っている。また欧州軍は地域を西ヨーロッパ/中央ヨーロッパ/新興独立国/アフリカの4つ分割管理することでより適切で即応性のある体制を維持している。

西ヨーロッパ及びNATO地域では主にNATO特殊作戦部隊、航空機との演習などを実施。相互運用性の強化んなどを図っている。

中央ヨーロッパでは主にバルカン半島の安定化を目的とし長期的に高いレベルの危険度を持つ。そのため配置部隊も規模が大きく即応力の高いものになっている。

新興独立国(NIS)は冷戦終了後民主国家として独立したものであり、今後もヨーロッパでは発生する可能性が大きい。これらの国家は不安定な内情であることから特殊作戦部隊の監視及び評価が重要になっている。またそれらの国家の軍事組織に対し平和安定維持の支援及び訓練を行うなどしている。現在モロドバ、グルジア、ウクライナなどが支援の対象になっている。

アフリカ地域は民族、宗教などの対立が激しく21世紀においても継続して特殊作戦及び欧州軍の投入が行われるであろう地域である。多くの国家の情勢は非常に不安定で無政府状態の国家も存在する。この事からアフリカ地域の安定化は急がれているがアメリカ政府のプレゼンスが及ばない地域も多く3個の特殊作戦部隊が即応体制を維持している。
中央特殊作戦軍団(SPECIAL OPERATIONS COMMAND CENTRAL COMMAND)
90年代以降アメリカが最も警戒を行っている地域の一つが中央軍の担当する中東、中央アジア、及び北アフリカである。世界の3大宗教が生まれた地域であり民族、宗教問題を抱える複雑な国家が乱立している。また中東各国が生み出す石油はの西側経済に直結していることから地域の安定化は最重要と考えられるがアフリカとは違い各国が組織された大規模な軍隊を持っている。他の特殊作戦軍団同様同地域の特殊作戦の策定、情報取得を行う他投入される特殊部隊には中東地域における文化、宗教などの教育、調査も行われる。前線司令部はバーレーンに設置され海軍SEALチーム3が配置されている。海上封鎖、地雷撤去、エジプト、ケニアにおける対麻薬作戦などを行っている。
南方特殊作戦軍団(SPECIAL OPERATIONS COMMAND SOUTH COMMAND)
メキシコ及びカリブ海、南米の32の独立国家と15の保護領を担当する南方特殊作戦軍団はこの地域の恒久的な安定のために設置されている。アメリカ政府は中米カリブ地域を経済の重要な地域と位置づけておりキューバを除くこの地域に対する安定化の為に特殊作戦を行う。プエルトリコのルーズベルトロード海軍基地に前線司令部を持つ南方軍団は第7特殊作戦グループ第3大隊C中隊、海軍SEALチーム4、第160SOARが駐屯している。さらに南方軍団はアメリカ本土の統合部隊コマンドから継続的な支援を受けており必要があれば増強が行われる。主な作戦は対麻薬作戦、同盟国の安定化のための支援などがある。
SOCOM 内部の組織構成
SOAL(特殊作戦取得/兵站センター)
SOALはSOCOM司令官に対し兵站支援、整備、研究開発などを行う組織で特殊部隊関連の装備、システムを一括管理、取得できる。これにより従来陸海空の3軍が独自に開発、採用してきた装備品などを一括して配備可能でコスト面の向上や編成上の無駄な配備の一掃などが可能となった。組織の財務、資産管理も担当し世界に展開する各特殊作戦部隊を一括して管理する。また開発を行い取得した支給品のリサーチなども行っている。
SORR(特殊作戦必要性/資源分配センター)
SORRは軍の作戦における特殊部隊の必要性を評価、判断し特殊部隊の戦略計画を作成する他、投入部隊や資源配分などを行う。また投入後のシミュレーション戦略評価、分析などの検証作業も担当する。
SOOP(特殊作戦運用/計画/政策センター)
SOOPは特殊部隊の教義、政策、運用を行うための組織で各国で運用されている行動中の特殊作戦部隊を管理、統括する。必要があれば戦力回復、増強のための計画を策定する。また、特殊部隊の法律上の投入を合法化するための組織でもある。この他訓練のための資源や統合演習なども管理する。
SOIO(特殊作戦情報/報道運用センター)
SOIOは情報と報道の管理、制御を行うための組織でメディアに対する報道管理などを行っている。SOCOMの通信、報道、システムエンジニアリング、監視及び偵察を担当しそれらの訓練や教育も行う。
SOSC(特殊作戦コマンド支援センター)
SOSCはアメリカ特殊作戦司令部の参謀長が指揮を担当する特殊部隊の運用支援組織で投入される特殊作戦部隊に対して支援のための人材を派遣する。広報、行政支援、医療の各スペシャリストの他警備、儀典用の人員なども派遣し司令部の指揮及び秘書業務も担当する。
JSOC(統合特殊作戦軍団)
JSOCはSOCOMに所属する各特殊部隊の運用や装備の開発、供給などを行う組織である。アメリカ軍特殊部隊の隊員が使用する火器や個人装備などの選定、耐用調査の他、特殊部隊の能力にあった戦術投入を行う。
ASOC(陸軍特殊作戦軍団)

アメリカ陸軍のすべての特殊作戦部隊を統括、指揮する組織で陸軍特殊部隊の聖地と呼ばれるノースカロライナ州フォートブラッグに本部を置く。特殊作戦グループ(グリーンベレー)、レンジャー、160SOAR、心理作戦部隊、民事部隊を傘下に置くSOCOM内でも最大の組織
NSWC(海軍特殊作戦軍団)
1987年4月16日カリフォルニア州サンディエゴのコロナドベースに設置されたNAVAL SPECIAL WARFARE COMMANDは世界各地の海洋地帯で作戦を遂行するSEAL及び支援チーム、特殊船艇部隊の統括を行う組織である。
AFSOC(空軍特殊作戦軍団)
第23空軍から派生したAFSOCは1990年5月22日フロリダ州ハールバートフィールドで誕生した。3つの航空団から組織された特殊作戦を可能な航空機部隊を持つほかコンバットコントロール、戦闘救難などの任務を行う特殊戦術部隊を持つ。