BERETTA
Modello 1934/Couger
ベレッタ社の制作するモデッロ1934は1934年にイタリア軍制式採用となったセルフローディングピストルである。ベレッタ社は18世紀以前から銃砲製造を行っている伝統的な銃器産業で、これまでにも多くのセルフローディングピストルを制作してきた。1915年には7.65x17mm弾を使用するセルフローディングピストルのピストラ・オートマティカ・・ベレッタ・モデッロ1915(M1915)を制作した他、1919年にはポケットオートのM1919を生産。M1915はイタリア軍に制式採用されなかったものの多くのイタリア軍将校に所持された。1922年にはM1922が完成した。ベレッタ社では独自開発したセルフローディングピストルのデザインとしてこの頃からスライド上部をカットし銃身上部を露出させる軽量スライド設計を取り入れており、その曲線や意匠は当時存在したどの銃よりも美しく機能的であった。モデッロ1934はモデッロ1915、1922等のデザインを継承しつつ口径を9x17mm(380ACP)とし完成された。9x17mm弾は軍用弾としては威力が弱く、戦闘時の殺傷性には不安が残ったが、作動はブローバック方式で堅実な造りであった。イタリア空軍、海軍向けバリエーションとして7.65x17mm弾を使用するモデッロ1935が存在する。
第二次世界大戦中はドイツ軍にもP671(i)として使用されこの時代のセルフローディングピストルとしては成功を収めた。
モデッロ1934は銃器職人による手作業での製造、組み立て、仕上げが行われ、工芸品の様な銃器であり、第二次世界大戦中、1943年〜1945年のイタリア戦線では連合軍の兵士が戦利品として挙ってベレッタモデッロ1934を入手した。現代のベレッタ社の一連のデザインはこの時代すでに確立されており、この後M1951などを経て1980年代に米軍に制式採用されるM92シリーズへと継承されていく。
ベレッタM1934の特徴としては、弾薬を撃ち尽くしスライドストップ作動後にクリップを引き抜くとスライドストップがかからずにスライドが前進する点が挙げられる。
ピエトロ・ベレッタ社
ベレッタ社の起源は古く、1526年にイタリアのベニスの商人が、ブレシアの銃砲職人マストロ・バルトロメオ・ベレッタの制作する銃身を売却したという記録が残っている。ベレッタ・ファミリーはその当時から現在までブレシア近郊のガードネ・デル・トロンピアに本社工場を構えている。この時代、多くの記録は無いがベレッタ一族が優れた銃身や多くのパーツを制作し、また銃本体の制作も行っていた事が知られている。
ベレッタ社が企業としてその知名度を本格的にヨーロッパに広めるのは20世紀になってからである。1903年6月に他界した父ギゼッペからベレッタ社を引き継いだ長男のピエトロ・ベレッタは会社組織の改革を行った。会社専用の水力発電装置を保持し、岩山の地下に製造工場を建造。この自家発電能力と堅牢な地下工場は第一次世界大戦、第二次世界大戦の戦火と爆撃にも耐え生産を続ける事に成功した。ベレッタ社は19世紀まで主にハンティング用の散弾銃などを主力商品にしてきたが、19世紀後半から20世紀初頭にかけてヨーロッパのルガー、ワルサー、FN、コルトなどが次々にセルフローディングピストルを発売していた。特にジョンMブローニングの開発したM1900はベレッタの興味を大いに刺激し、ベレッタ社でも同様のセルフローディングピストルの開発に着手する。
当時のイタリア軍はグリセンティM1910ピストルを使用していた。グリセンティは独自開発した9x19mm弾を使用しているが、これはルガーの使用する9x19mmと同寸のものでありながら、火薬の量が少なく弾芯が軽い弱装型の弾薬であった。ベレッタ社ではイタリア軍への使用を考慮しこの9x19mmグリセンティ弾を使用する単純ブローバック構造のM1915を制作。第一次世界大戦でピストル不足に悩んだイタリア軍に使用された。1917年には7.65x17mm弾を使用するM1915の改良型M1915/17(M1917)が民間販売された。以降ベレッタ社ではポケットオートM1919など次々とセルフローディングピストルを制作。ベレッタの軍への販売は意外な事にサブマシンガンの納入からであった。ビラール・ベロサ機関銃の構造を参考に9x19mmグリセンティ弾を使用しセミ・フルセレクティブファイアのサブマシンガンM1918カービンを開発したのだ。イタリア軍はこのサブマシンガンを購入した。このサブマシンガン及びこれまでのベレッタピストルシリーズは9x19mmグリセンティ弾を使用する事から構造が単純である反面、威力不足が問題視されていた。この問題は第二次世界大戦に於けるイタリア軍の銃器選定でも大きな問題となっていく。
1920年代ベレッタ社はセミオートマチックピストルM1922を発表する。M1922はスライド上部を大きくカットしバレルを露出させるデザインを持ち、これ以降のベレッタピストルの大きな特徴として定着していく。
スライドの上部を開口する事は常にスライドの強度不足問題が付き纏うが、排莢時のカートリッジが排莢不良を起こし難く、またスライド自身の軽量化をする事で反動が軽減されるというメリットも存在した。しかしベレッタ社では問題よりもメリットが多いと考え以降のピストル全てにこのデザインを取り入れる。ベレッタM1922はそれまでのベレッタセルフローディングピストル同様にハンマーをスライドに内蔵していた。これはピストルがコック状態にあるのかそうでないのかの判断が難しかった事から改良型のM1923ではハンマーを露出式に変更した。
M1923はイタリア軍を始めイタリア警察、ブルガリア軍、アルゼンチン警察などに使用された。マーケットで成功したベレッタピストルであったが問題はやはり弾薬の威力不足であり、その割に口径は大きく、比例して銃のサイズも大きくなった。ベレッタ社はこの問題を解決すべく7.65x17mm弾を使用する一連のシリーズを制作する。1930年代に完成したM1931とM1932はピストル自体の小型化に成功しその設計思想はM1934によって完成される。M1934はイタリア軍が本格的に大量採用したベレッタ社のセルフローディングピストルであった。
モデッロ1934はモデッロ1915、1922等のデザインを継承しつつ口径を9x17mm(380ACP)とし完成された。9x17mm弾は軍用弾としてはグリセンティ弾同様に威力が弱く、戦闘時の殺傷性には不安が残ったが、銃自体は小型化可能で、作動はブローバック方式で堅実な造りであった。イタリア空軍、海軍向けバリエーションとして7.65x17mm弾を使用するモデッロ1935が存在する。
第二次世界大戦中はドイツ軍にもP671(i)として使用されこの時代のセルフローディングピストルとしては成功を収めた。
モデッロ1934は銃器職人による手作業での製造、組み立て、仕上げが行われ、工芸品の様な銃器であり、第二次世界大戦中、1943年〜1945年のイタリア戦線では連合軍の兵士が戦利品として挙ってベレッタモデッロ1934を入手した。現代のベレッタ社の一連のデザインはこの時代すでに確立されており、この後M1951などを経て1980年代に米軍に制式採用されるM92シリーズへと継承されていく。
第二次世界大戦中のベレッタ社ではM1938/42サブマシンガン、M1934ピストルなど多くの火器を制作したが、同盟国である日本軍に向けての生産も行った。当時日本軍では中国戦線での装備供給不足が問題になり陸軍の受注に対しての要求すら満たせない状態であった。帝国海軍では海軍陸戦隊のライフルが不足した為にイタリアに人員を派遣し、日本軍が使用する38式歩兵銃と似た小銃制作を依頼。6.5mmM91ライフルをベースに開発、完成した60000丁のライフルはイ式小銃として使用されたが、その一部はベレッタ社が製造を担当した。
第二次世界大戦終了後、敗戦国となったイタリアだが比較的早い段階から再軍備が認められ、ベレッタ社でもその再軍備に尽力していく事になる。1950年代までにベレッタ社はイタリア最大の銃器メーカーとしてその地位を不動のものにしていたが、イタリア軍は多くの火器が混在しており複雑な火器系統を持っていた。
ベレッタ社は早速歩兵用小銃の開発を開始するが当時はアメリカ軍から供給されたM1ガーランドが多数使用されていた。ベレッタ社ではこのM1をNATO弾として選定された7.62x51mm弾仕様に変更し、セミ、フルオート射撃機能とボックスマガジンを持つライフルに改造した。このモデルはM14に酷似した外観を持ち、BM59としてイタリア軍に使用される。1970年代にはスイスのSIG社と協同でイタリア軍の制式ライフル開発も手がける。SIG社との連携はその後解消されてしまうものの、ベレッタ社で単独開発を続けAR70/223を完成させる。AR70は5.56x45mm弾を使用する小口径アサルトライフルでSIG社の同系アサルトライフルに似た外観を持っていたが、予算不足のイタリア軍に於いて制式採用は遅れ、同モデルはイタリア陸軍特殊部隊とイタリア海兵隊に留まった。本格的にAR70が採用、使用されるのは1990年6月でこの頃にはさらに改良が進んだAR70/90となっていた。AR70/90にはカービンモデルのSCRなどバリエーションも存在する。
一方ピストル、サブマシンガンの分野でも再編イタリア軍の口径統一などを目的に9x19mm弾を使用するM1951を発表。1958年には同じく9x19mm弾を使用するサブマシンガンM12を発表した。同シリーズはイタリア及び西側諸国で採用が続き、1985年にはM92ピストルの改良型M92SB-1(M92F)がアメリカ軍の制式採用拳銃となり名実共に世界有数の銃器メーカーとなった。
ベレッタ社は21世紀に入り、伝統的な狩猟用ショットガン、ライフルから軍用ライフル、サブマシンガン、民間、軍、警察でも使用可能な各種ピストルを総合的に製造している。特にホームディフェンス、タクティカルピストルの分野ではコンパクトピストルクーガーシリーズやタクティカル/CQBピストルシリーズ、ポリマーフレームのPx4 Stormなどを製造している。

ベレッタ社の主な製造品

主な製品 備考
サブコンパクトピストル
M1919 25ACP仕様、装弾数8
M1934 380ACP仕様、装弾数8
M21A 22LR仕様、装弾数6
M950BS 22SHORT/25ACP弾 装弾数6
コンパクトピストル
M84F 380ACP仕様、装弾数13
M85F 380ACP仕様、装弾数8 84のシングルカラアムマガジンモデル
M86 380ACP仕様、装弾数8 M85のチップアップバレル装備モデル
M92SB COMPACT M92SBのコンパクトモデル
M92SB C/M M92SB/Cのシングルカラアムモデル。装弾数8
M92FS COMPACT M92FSのコンパクトモデル。SBモデルの問題点を受け交代
M96 COMPACT M92FS/Cの40SW弾モデル
COMPACT INOX M92FS以降のコンパクトシリーズにあるINOXモデル。
8000F MINI COUGAR クーガーのコンパクトモデル9mm仕様。装弾数10
8084F MINI COUGAR クーガーのコンパクトモデル40SW仕様。装弾数8または10(エクステンデットマガジン)
8085F MINI COUGAR クーガーのコンパクトモデル40SW仕様。装弾数8または10(エクステンデットマガジン)
M9000SERIES ポリマーフレームのコンパクトオート。装弾数10、口径40SWまたは9mmモデルが複数
フルサイズピストル
M951(1951) 9x19mm弾、装弾数8発。ベレッタ92シリーズの原形。シングルアクション
M92 9x19mm弾、装弾数M1951の改良モデル。シングル/ダブルアクション
M92S 9x19mm弾、イタリア警察などに採用されたモデル。
M92SB(M92S-1) M92Sの改良型で米軍トライアルにも参加。市販名92SB
M92SB-F(M92F) アメリカ軍トライアル最終型。M9として採用される。
M92FS スライド破損トラブルなどにより改良を受けたモデル。
M92FS BRIGADIER ヘビーウエイトスライド、可動式フロントサイトを装備したM92FS
M92FS ELITE IA ヘビーウエイトスライドを持つショートバレルモデル。レイルドフレーム付
M92FS ELITE II ヘビーウエイトスライドを持つショートバレルモデル。
M92FS CENTURION 92FSのショートバレルモデル装弾数は92FSと同じ。
M92FS VERTEC M92FSのレイルドフレーム、ショートバレルモデル。M96にも同様のモデルがある。
M76 22LR弾/競技用ターゲットピストル
M89 22LR弾/競技用ターゲットピストル
M92FS INOX M92FSのステンレスモデル
M92D M92のダブルアクション専用モデル
M92G フランスGIAT社のライセンスモデルでフランス軍MPが使用。
M92G SD M92FSのレイルドフレームモデル。9mm/40SWモデル(96G-SD)がある。
M96 M92FSの40S&W弾モデル。装弾数10。INOXモデル有。
M96 BRIGADIER M96のヘビースライドモデル。INOXも有。
M951R M951のセミ/フルモデル。フロントグリップ、ロングバレルを装備。
M93R M951の後継モデル。M92シリーズの3バーストマシンピストルモデル。
M98 7.65弾もしくは9x21IMIを使用するM92FS
M8000F COUGAR L フルカバースライドを持つ新型ピストル。9mm弾仕様。装弾数10
COUGAR F SERIES クーガーバリエーション8040F(9mm/40SW)、8045F(45)、8357F(357SIG)等
ライフル/ショットガン
AR70 1970年に開発されたイタリア軍制式採用アサルトライフル
AR70/90 イタリア軍制式採用アサルトライフル。1990年にSS109弾に対応させた改良モデル。
AR70/90SRC AR70/90のコマンドーモデル
M686 SERIES 狩猟用ショットガン
AL391 SERIES 狩猟用ショットガン(セミオートマチック)
470EL SERIES 狩猟用ショットガン(水平2連<SIDE BY SIDE>バレル)


[GUN'S DATA]
■MODEL M1934
■MANUFACTURER P.BERETTA/ITALY
■OVER ALL LENGTH 152mm
■BARREL LENGTH 90mm
■RIFLING 6 GROOVES RH
■WEIGHT 568g
■CARTRIDGE 9x17mm 380ACP
■FIRING SYSTEM SINGLE ACTION
■FIRING MODE SEMI AUTO
■MUZZLE VELOCITY 290m/s
■CYCLIC RATE ---rds/min
■MAGAZINE CAPACITY 7 ROUND BOX

[GUN'S DATA]
■MODEL M1935
■MANUFACTURER P.BERETTA/ITALY
■OVER ALL LENGTH 152mm
■BARREL LENGTH 90mm
■RIFLING 6 GROOVES RH
■WEIGHT 568g
■CARTRIDGE 7.65x17mm(320APC)
■FIRING SYSTEM SINGLE ACTION
■FIRING MODE SEMI AUTO
■MUZZLE VELOCITY 290m/s
■CYCLIC RATE ---rds/min
■MAGAZINE CAPACITY 8 ROUND BOX