H&K Mk23 Mod.0
SOCOM PISTOL
Mk23 SOCOMピストルはアメリカ特殊作戦群(U.S.SOCOM)の要求で1996年に完成され支給が開始された。特殊部隊のCQB(室内戦闘)や夜間戦闘に於いてより効果的なピストルを必要としていた。閉鎖空間では時としてカービンやサブマシンガンよりもピストルのストッピングパワーと携行性が有利となりうる。砂漠や湿気の多いジャングル、寒冷地などの環境を問わず、また夜間や閉鎖空間で効果的な性能を維持するというコンセプトのピストルは、1990年代の時点で該当するものが無く、SOCOMでは対テロ火器に実績を持つH&K社とアメリカのコルト社に新型ピストルの開発を依頼。1990年2月にOHWS(Offensive Handgun Weapon System)プログラムとしてトライアルがスタートした。
SOCOMピストルの選定には過酷なアウトラインが設定されていた。その主な内容は以下の通り。
●45ACPフルメタルジャケット弾及び45ACP+P(強装弾)の使用が可能な事
●6万発の射撃に耐えられるフレームとスライド(後に3万発までに変更)
●3万発までの射撃にパーツが破損しない事
●クリーニング無しで2000発の発射が可能な事
●25メートルで2.5インチ(64mm)のグービング
●摂氏60度から-31度の範囲で作動する事
●水深20メートルの海水に2時間浸していても作動する事
●悪条件下(海砂、砂埃、泥、凍結、オイルレス、汚れの付着)でも正常に作動
●全長は250mm、全高は150mm、全幅は35mm(後に39mmに変更)以内
●ドライウエイトで1300グラム以下。サイレンサーと弾薬10発装填した弾倉を装着して1600グラム以下。
●トリガープルをダブルアクションで3.6〜6.4kg。シングルアクションで1.36〜2.27kg
●フレームにコックアンドロック方式のアイビセーフティを装備する事
●ハンマーデコッキングを装備
●可視/赤外線双方の機能を持つレーザー&フラッシュライトLAMの装備

テストはフェーズ1からフェーズ3までの3段階で実施され海軍特殊作戦センターとSEALがテストを担当した。1992年8月にはこれら条件を満たしたピストルをH&K社、コルト社が提出。H&KではUSPの開発チームのチーフデザイナーヘルムート・ベルデルを中心に新型ピストルを開発。一方のコルト社はダブルイーグルをベースとしたSOCOMピストルを提出した。詳細なテストと価格選定の結果H&K社のMk23が優れていると判断され、フェーズ2への契約とテストに移行された。
フェーズ2ではサイレンサーの開発も平行して行われ、ナイツアーマメント社が担当。Mk23は良好なテスト結果を残すが、LAMに関しては、レーザー光が一色の為、複数で突入した際に照準が判別不能になるという指摘を受け開発が白紙に戻された。またフェーズ1では装備されていたスライドロック機構がキャンセルされている。
スライドロック機構は静穏性を高める為にスライドのブローバック動作をロックするシステムでベトナム戦争で使用されたMk22 Mod0にも装備されていた。射撃は1発毎にスライドを後方に引き手動で再装填するもので効果的なシステムとされていた。
1995年7月には更なる改良を受けたMk23がフェイズ3へ進み1996年5月1日に1950梃がSEALに納入され、以降SOCOM所属の特殊部隊に段階的に支給された。SOCOMピストルはMark23として1997年から市販も行われ市販価格は1梃$2000ドルとなった。
Mk23は特殊部隊が使用するSOPMOD/M4カービンと同様に現代の特殊作戦を行う為のプラットホーム火器として優れた環境適応能力を持つが、一方で、単純なサイドアームとしては大型で重いピストルとなってしまった。その為、特殊部隊の隊員でも多くがSIGやM1911A1カスタム、M9といったピストルを携行する者も多い。近年ではMk23の能力に疑問を持つ者も多く、その評価は分かれている。
しかしオフェンシブウエポンという新たな分野を開拓した事は事実であり、今後も同様のコンセプトを持つピストルが開発されていくと考えられる。
写真のモデルは制式採用されたPhase IIIモデル。Phase IIモデルと比較するとフレームの全幅が広がり強度を増している。更にデコッキングレバー上部に補強リブが設けられ、スライド形状、刻印が変更された。マガジンはプレス方式から咬み合わせ式のプレスへ変更され強度が増加している。バレルはポリゴナルボア工法で製作され、耐久性と命中精度に優れ、リアサイトとフロントサイトにはトリチウムインサートが装備されている。マガジンキャッチ、セーフティは左右対応のアンビタイプスライドは14-14ニッケルクローム綱、バレル素材は32-12-10クロームモリブデンバナジウム綱、フレームはグラスファイバーとベストアミドL-FG30のコンポジットとなっている。
Mark23は25メートル5発射撃のグルービングが36mm前後というマッチグレードクラスの命中精度を持ちSOCOMピストルの名に相応しい性能を持っている。
ナイツアーマメント製サイレンサー。消音効果は未使用時に156デシベル、装着時には132デシベル。ウェットで122デシベルとなっており、サイレンサーを水につける事で発射ガスを水を温める熱エネルギーとして消費させ結果的に消音効果が増す仕組みとなっている。サイレンサーの材質は410ステンレス製。全長190.5mm直径35.5mm
SOCOMピストルのバレル先端はサイレンサーを装着する為にスクリュースレード(ネジ山)が装備されている。オプション装備としてマズルガードとフラッシュサプレッサーも用意された。
マズルガードを装着したMk23。マズルガードは先端部に設けられたスクリューベースのダメージを回避する為に用意されたオプションである。
サイレンサーアタッチメントに装着する為にデザインされたフラッシュサプレッサー。夜間射撃の際にマズルフラッシュを軽減し、射手の目を保護する。
[GUN'S DATA]
■MODEL Mk23 MOD 0 SOCOM PISTOL
■MANUFACTURER H&K/GERMANY
■OVER ALL LENGTH 245mm
421mmg(Add Silencer)
■BARREL LENGTH 149mm
■RIFLING 6 GROOVES RH
■WEIGHT 1210g
1920g(Add Silencer)
■CARTRIDGE .45ACP
■FIRING SYSTEM SINGLE ACTION
DOUBLE ACTION
■FIRING MODE SEMI AUTO
■MUZZLE VELOCITY 270m/s
■CYCLIC RATE ---rds/min
■MAGAZINE CAPACITY 12 ROUND BOX