RUSSIAN PISTOLS
TOKAPEB TT1930/33
ソビエトが開発したTT1930/33(トゥールスキー・トカレバ<トカレフ>)は20世紀の多くの期間共産国軍隊の主力拳銃として使用された。20世紀初頭、帝政ロシア軍や1917年のボリシェビキ革命後のソ連軍は歩兵、将校用の拳銃として7.62mmリボルバーのナガンM1895Gを使用していた。ナガンピストルは堅牢で確実な作動をし、兵士達からの信頼も厚かったが、各国がセルフローディングピストルを採用した事からロシアでも開発に着手した。設計者はフィヨドル・ヴァジレビッチ・トカレフで1930年に完成した。トゥーラ(T)造兵廠で制作されたトカレフ(T)設計のピストルを意味するTT30(1930年)として命名された。トカレフの構造はシングルアクションで、7.62x25mm/M1930P弾を使用する。リコイル方式はコルトM1911、ブローニングなどを参考に制作しており、一部内部機構はM1911のものを完全にコピーしている。トカレフは堅牢な構造を持ち整備性、生産性に優れていた。特にハンマー、メインスプリングなどを一体化したブロックで制作し分解、清掃が容易に可能で、泥地や雪原などが多いロシアでの作戦行動を十分に配慮していた。唯一の欠点はマニュアルセーフティを持たない事で、ハンマーをハーフコック状態にする以外にトリガーをロックする方法は無い。これはトカレフの特性を理解した上で携行しない者には危険な事で、特に薬室内に弾丸を装填した状態ではセーフティにする方法が無く、暴発の危険を覚悟で携行するか、コンバットロード(あらかじめ薬質に弾薬を装填する行為)をやめるしかない。
初期のトカレフピストルであるTT30は制式化されたものの生産数は多くなく1933年には改良モデルとしてTT33が制式採用される。TT33はバレル部分の仕上げをシルバーから黒色仕上げに変更している。
大祖国戦争(第二次世界大戦)ではナガンリボルバーと共にトカレフT33が大量に使用され、1945年の終戦までソ連軍の将兵を支えた。第二次世界大戦中はドイツ軍も大量のトカレフを戦利品として得ており、これらを自軍の制式655(r)として使用した。この背景にはドイツ軍がモーゼルなどに使用していた7.63x25mm弾とトカレフ用に採用された7.62mm/1930P弾が実質的に同じ弾丸であった事が挙げられた。ソ連はボルシェビキ時代にドイツから大量に輸入、使用されたモーゼルピストルとその弾薬である7.63mmモーゼル弾が実質的にそのままロシア軍のピストル弾として使用し続けていたのである。
トカレフの特徴としては7.62mmという優れた貫通力と高い初速を持つ弾薬を使用している点で、ソ連製弾薬の中には弾芯にスチールコアを使用したものも存在しこの弾薬はさらに強力な貫通力を持ち、西側で制作された多くのピストル用防弾ベストを貫通した。
TT33は1945年になり初めて単独の制式採用ピストルとなり以降ソ連軍の将校を始めワルシャワ条約機構に加盟した多くの東側国家に生産、使用された。ポーランドでは自軍用拳銃として採用した他、東ドイツ軍、チェコスロバキアへの輸出も行い、中国ではノックダウン方式で生産したトカレフを51式ピストルとして採用し後に自国生産の54式を採用、大量生産された。旧ユーゴスラビアではツアスタバがマガジンセーフティを追加しM57として採用、使用され輸出も行われた。この他北朝鮮製のTT33である68式も存在している。東欧の武器輸出国家として知られるハンガリーではカラシニコフシリーズ同様大量生産された。ハンガリー製トカレフ、モデル48はトカレフの9x19mmバージョンでエジプトの要求で制作され、トカジプトと呼ばれた。
トカレフT33は1952年にマカロフに制式ピストルの座を譲るが、以降も使用が続き特に後方部隊や第二線部隊などでは現在も使用されている。中国、北朝鮮製などは多くが横流しでブラックマーケットに流出しマフィアや犯罪者の手に渡っている。

トカレフの外観は簡素で実用に徹している。西側ピストルの様な仕上げの美しさや操作性の追求などは一切考えられていない事は素人にも容易に判断がつくが、実戦本意の極めて堅牢かつ信頼性に富んだピストルと言える。トカレフもまた、傑作と呼ばれるソ連製の火器全てが持ち合わせている堅牢さと確実な動作能力を持っている。

ブローニング自動拳銃、M1911の構造を模倣して製造されたトカレフは外観、特にスライド前方の意匠がM1911に酷似しているが、使用弾が45ACPよりも小さい7.62x25mm弾である事から全体的なサイズは一回りダウンサイジングされている。
[GUN'S DATA]
■MODEL TT1930/33
■MANUFACTURER U.S.S.R.
STATE FACTORY
■OVER ALL LENGTH 196mm
■BARREL LENGTH 116mm
■RIFLING 6 GROOVES RH
■WEIGHT 825g
■CARTRIDGE 7.62x25mm SOVIET PISTOL
7.63x25mm MAUSER
■FIRING SYSTEM SINGLE ACTION
■FIRING MODE SEMI AUTO
■MUZZLE VELOCITY 420m/s
■CYCLIC RATE ---rds/min
■MAGAZINE CAPACITY 8 ROUND BOX