U.S.S.R.
Avtomat Kalashnikova 1947
AK47
1939年に始まった第二次世界大戦は、1941年になるとドイツ軍がソビエト領内に侵攻し始めてきた。バルバロッサ作戦の発動である。同年10月、侵攻してきたドイツ軍との戦闘で負傷した一人の戦車兵軍曹が野戦病院のベットにいた。ミハエル・ティモフェイェビッチ・カラシニコフ(Mikhail Kalashnikov)である。彼は襲い来るドイツ軍歩兵が持っていたサブマシンガンに脅威を覚え、後送先で自らの経験を生かしたサブマシンガンの試作を試みる。最初に設計したモデル1942セミオートマチックサブマシンガンはテストで良好な成績を収めるものの既に生産が開始されていたスダレフPPSの量産を優先させる。結果的に採用が見送られたモデル1942試作サブマシンガンであったがこの優れた設計を評価した当時のソビエト銃器設計の第一人者A.A.ブラゴノラボフであった。カラシニコフはこの成果をもってソビエト造兵社会の一員となったのである。当時のソビエトにはS.G.シモノフ、S.A.コロンビン、V.A.デクチャレフ、A.I.スダレフなどの現在も残る小火器を設計したデザイナーが多く存在した。その後のソビエトはサブマシンガンに短小ライフル弾やピストル弾をテストし軽量サブマシンガンの開発を実施するが、これらは遠距離での殺傷性に満足な結果が得られなかった。1943年にN.M.イェリザロ、B.V.セミンらが開発した7.62x39mm弾がその問題を解決するとこの弾丸は1943r7.62mmx39と制式化された。この結果ソビエト軍はこの弾丸を使用した小火器の開発を開始。開発の中心を担ったS.G.シモノフは1940年に試作セミオートマチックライフルを完成。
1945年SKS45(7.62mm 1945 モデル シモノフ システム セルフローディング カービン)として制式採用された。
シモノフは優秀なライフルで、カラシニコフが製作したオートマチックライフルは当時採用が見送られた。1945年に第二次世界大戦が終戦を迎えると、カラシニコフは新たに始まったアブドマット(アサルトライフル)計画に移行、参加する。
突撃を意味するアブドマットは文字通り歩兵用の突撃銃を開発するプロジェクトであり、ライフル弾よりも小さく、ピストル弾よりも威力のある弾丸を利用した軽く携行性に優れた歩兵火器を指した。
カラシニコフはアブドマットの開発に於いて、単純で信頼性のあるブローバック機構を考えた。7.62mmx39弾は大きく反動も強いため設計は難航を極めたが、カラシニコフが初期に開発していたオートマチックのガス圧利用方式のロータリーボルトを利用しそれを解決した。カラシニコフのアブドマット設計には多くのソビエト技術者が加る事になった。こうして完成したカラシニコフ/モデル1946は射撃試験のために少量が試作生産され支給された。使用結果は良好でその後次々と改良が加えられ、遂にアブドマット・カラシニコバ試作1947は完成した。一般に言われるAK47 I型の完成である。
AK47はその後I型を経てII型III型と改良されていく(この改良呼称は西側が決めたものでソビエトではこのような区別はしていない)。アブドマットカラシニコフは30発の弾倉と800mまで調整可能なタンジェント式リアサイトを持ち射撃性能も同時期に試作されていたアブドマットよりも優秀であった。
この結果をみたソ連軍はカラシニコフの大量量産を決断。ソビエト軍のアブドマットカラシニコフの制式採用は1949年の事であったが、採用した試作モデルの完成年を使用し制式名称を「7.62mm アブドマット・カラシニコバ」としている。
AKはその後東側各国で生産され続け、コピー生産も含めると総生産数は5000万とも8000万ともいわれ、地球規模でのベストセラーライフルになっている。多くの戦場や紛争地帯、テロリズムに於いてカラシニコフは必ずその姿を見せる。ヴェトナム戦争に於いては北ヴェトナム軍をはじめ、敵国であるアメリカ軍さえも特殊作戦には使用していた。アフガニスタンではソビエト、アフガニスタン両国が使用し、湾岸戦争でも多くのAKがイラク軍等に利用されている。
AKというライフルは旧ソビエト、ワルシャワ条約機構を中心にアフリカや中国、東ヨーロッパなど世界中で生産されている。世界の紛争地域では補給を自国の密造に頼っているものが多いが、そうした密造銃でもAKは群を抜いた製造数を誇る。総生産数は実に1億挺以上ともいわれるカラシニコフライフルは軍だけでなくテロリストやゲリラなどにも大量に出回り使用されている。制作者のM.カラシニコフはこの事態を憂いでいるが、開発者の祖国防衛という思想の元に作られたAKはその意志とは関係なく世界中の紛争地域で使用され、人類史上最も多く生産された道具となっている。
AKのセレクターレバーは上方から下へ向けて下げる事でセーフティから順次フル、セミオートと変更可能になっている。セーフティの下にはフルオートを意味するAB(avtomaticheskiy)、その下にはセミオートを意味するOD(odinochniy)が打刻されている。これらの表記はライセンス生産を行う国によって異なった表記となっている。


カラシニコフ1946試作アブドマット
最初にテスト支給されたAK47の原型モデル。外観はAK47とほぼ同じデザインで木製の銃床、上下二分割のフォアグリップ、30発装填の箱形弾倉を持つ。箱形弾倉については同時期に開発されていたスダレフモデル1943アブドマットと同じものを使用した。semi/フルオートのセレクティブファイア。作動はガス圧利用でロータリーロッキングボルトシステムを持つ。レシーバーはスチールプレスで補強にのみスチール削り出しのブロックを使用しリベットで固定した。量産型のAK47と異なる点としてはイジェクションポートがレシーバー側面ではなく上部全体に配置されている点、セーフティがセミ、フル切り替えセレクターとは別に独立配置されている点などであった。

AK47 I型
最初に量産された第一世代カラシニコフライフルでカラシニコフ モデル1947試作アブドマットと呼ばれる。試作モデル1946から多くの改良を受けており、イジェクションポートが現行モデルと同様小型化され側面に移動、上面にはレシーバーカバーが配置されセレクターもセーフティ、セミ、フルが一体操作可能になった。レシーバーはスチールプレス製で補強の為にスチールブロックを組み込み金属リベットで固定している。ストック、フォアグリップは木製でグリップは左右2ピースのプラスチック製。重量は4085g

AK47 II型
1950年から生産されたAK47 I型の改良モデルで大きな変更点としてレシーバーをプレスとスチールブロックの組み合わせからスチール削り出し工法に変更している。I型は長期間の使用でプレスレシーバーとスチールブロックを固定するリベットが欠損や緩みを生みだす問題があった。スチール削り出しによるレシーバーは優れた強度を持ったがコストと作業工程に著しい負担となった。レシーバーの作業工程変更に伴い外観の補強にもデザイン変更が見られる。またストック基部にスチールブロックが追加されピン1本でショルダーストックが分解可能となった。I型で破損の目立ったグリップは合板製のウッドグリップに変更されストック、フォアグリップも同様に合板を使用している。またII型からはレシーバー左側面に製造年に加えて製造した造兵廠の刻印も加えられた。ソビエト軍では基本的に一連のAK47の改良に呼称はつけていないがマニュアルなどではプレスレシーバー、スタンダードレシーバーと分けて説明している。削り出し工法とブナ合板により重量は4125gとなりモデル中最も重いAKとなった。

AK47 III型
III型はAK47の最終モデルでありもっとも生産されたモデルである。1953年から生産され、スチール削り出し工法は維持しているもののより簡略化されて生産されている。II型で採用されていたショルダーストック基部のシステムを廃止し単純なデザインとした。木製部分はブナ合板を使用。ワルシャワ条約機構で数多く生産、供与されたのもこのIII型である。また箱形弾倉は変形を防止する為現在の金属製弾倉に見られる補強リブ付きのタイプが生産された。レシーバーの改良により重量は3900gとなった。

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■AK47の主な使用国とバリエーションモデル
使用国 モデル 備考
ソ連(ロシア) AK47 I型 1947年試作モデルとして量産され1949年そのまま制式採用された。ソ連軍での制式名称は7.62mm アブドマット・カラシニコバ。バリエーションに折り畳みストックを持つAK47S I型が存在する。
ソ連(ロシア) AK47 II型 1950年頃から生産された改良モデル。プレスレシーバーに代わりスチール削り出し工法を用いている。III型までの間で最もコストが高く重量の重い製品となった。バリエーションに折り畳みストックを持つAK47S II型が存在する。
ソ連(ロシア) AK47 III型 1953年から生産されたII型改良モデル。スチール削り出しながら軽量化に成功し大量生産を開始。バリエーションに折り畳みストックを持つAK47S III型が存在する。
ソ連(ロシア) AK47S 各モデルのAK47でバリエーションとして用意された金属製の折り畳み式銃床を持つモデル。空挺部隊や特殊部隊向けに支給された。
ブルガリア AK47 1960年代初頭から各国からパーツを購入し自国で組み立てるノックダウン方式で生産が開始され1960年代に国産化された。ストックはポリエチレン製、グリップはプラスチック製。後にマガジンもプラスチック製に変更する。
東ドイツ MPi-K 1957年からAK47のライセンス契約し1958年から生産を開始。セレクターの刻印はセミオートがD(ダウエル)、フルオートがE(アインツェル)。バリエーションにAK47SにあたるMPi-KmSが存在する。
ハンガリー FEG/AK47 1950年代からライセンス生産を開始。セレクターはフルオートが∞、セミオートが1と記載されている。ハンガリーでは自国のみならず第三世界への輸出も積極的に行った。またスポーツ用としてヨーロッパやアメリカにも輸出実績がある。
ポーランド PMK AK47のライセンスモデル。1950年代中期から生産を開始。PMKとはピストレット・マスツィノービー・カラシニコフ(カラシニコフマシンピストル)の略。木製グリップにはチェッカリングを施した。1960年にはマズル部分にライフルグレネード発射用のアダプターを装着したPMK-DGN-60が採用された。ガスピストン基部にガス圧をランチャー発射に利用する為のカットオフスイッチが装備されLON-1グレネードを射出可能。セレクターの刻印はセミオートがP、フルオートがC。空挺向けモデルPMKS(AK47S)も生産された。
ルーマニア AI AK47のライセンス生産モデル
ユーゴスラビア M64 ワルシャワ条約機構に属さない社会主義国家であったユーゴスラビアはソビエトと同様の兵器体系を持つ。1964年からAK47のライセンス生産を開始。アブドマットM64をスタンダードモデルにライフルグレネード発射機構を持つM64A、フォールディングストックを持つM64Bが存在する。
ユーゴスラビア M70 1970年に採用されたM64の改良型でライフルグレネード発射機構を標準化し、プラスチック製のグリップを装備している。バリエーションにはフォールディングストックを持ったM70Aが存在する。セレクターはセーフティがU、フルオートがR、セミオートがJ。レシーバーは削り出し加工。
チェコスロバキア Vz58P チェコが独自に開発した7.62x39mm弾使用のアサルトライフルでAK47グループには属さない。木製ストック、上限分割フォアグリップなど外見上はAK47に似たレイアウトを持つが弾薬以外の互換性は無い。サイドスイングストックを持つVz58V、夜間戦仕様のVz58PNが存在している。輸出公社メルクリアを利用して中東やアフリカにも輸出された。Vz58Vはテロリストにより使用される事も多く、イスラエルロッド空港で起きた日本赤軍による襲撃事件でも使用されている。
中国 56式 1956年にソビエトのライセンスを受けて国産化されたAK47。生産は中国北方工業公司(ノーリンコ)で行われた。基本的にAK47III型をベースにしているが独自に設計したプレスレシーバーモデルも存在する。AK47との差異はフロントサイト下部に装備されたスパイクバヨネット(刺突型銃剣)を持つ点でベトナム戦争で共産軍が使用した。スパイクバヨネットは中国でライセンス生産されたSKSと同一の構造。またフロントサイトのガードは半円型から円筒型になり保護性を高めている。セレクターはフルオートが中国漢字のレン、セミオートが単(ダン)。AK47Sにあたる56-1式も生産。生産性向上の為にウッドパーツを廃したプラスチック部品モデルも存在する。
中国 M22 中国が輸出向けに生産したAK47 III型。ニードルバヨネットを持たないスタンダードなモデルだが生産国を隠す為にM22という名称と謎の製造番号を用いている。セレクターはフルオートがL、セミオートがD
北朝鮮 58式 朝鮮民主主義人民共和国の使用するAK47 III型。セレクターはハングル文字を使用。
アルバニア 56式 中国製のAK47である56式を輸入し使用。
フィンランド RKm60/62 戦後ソ連の影響下に置かれた為ワルシャワ同盟に帰属しないながらもソ連系統の火器を生産。7.62x39mm弾を使用するライフルのトライアルをサコ社、ティッカコスキ社、ワルメット社の自国会社に加えSIG、セトメ、マドセンも加えて実施。結果ワルメット社のRKm60(ルンネッカ・キバリ・モデル60)を選択。1962年には改良モデルRKm62が制式採用された。基本構造はAK47を踏襲しておりパイプ型のストックとプラスチック製ハンドガードが大きな特徴。AK47との弾倉の互換性も持つ。
イスラエル Galil AR イスラエルが設計した5.56x45mm弾を使用するカラシニコフシステム。当初FALを使用していたが度重なる戦争で備蓄されたAK47も使用しており小口径化に伴うテスト段階でアメリカ製M16よりも優れたAKのシステムを使用する事を決定。カラシニコフのシステム、RKmのフレーム、M16の銃身、ストーナーライフルの弾倉、FALのストックを組み合わせる様なデザインで完成された。レシーバーは当初フィンランドのRKm62のものを輸入して製作されその後自国生産に切り替えた。バリエーションは多数存在する。
南アフリカ R4 南アフリカが生産したガリルのライセンスモデル。スタンダードサイズのR4とガリルSARに準じたR5が存在する。ハンドガード、ストック、オペレーティングロッド等改良が施されている。

AK47及びカラシニコフシステムの主な使用国

アフガニスタン、アルバニア、アルジェリア、アンゴラ、バングラディッシュ、ベニン、ボツワナ、ブルガリア、ケープベルデ、中央アフリカ、チャド、チリ、中国、コロンビア、コモロス、コンゴ、キューバ、ジプチ、エジプト、エルサルバドル、エクアトリアルギニア、エチオピア、フィンランド、ガボン、東ドイツ/統一ドイツ(旧DDR側)、ガーナ、グレナダ、ギニア、ギニアゼセウ、ギアナ、ハイチ、ホンジュラス、ハンガリー、インド、インドネシア、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、カンボジア、北朝鮮、クウェート、ラオス、レバノン、レソト、リビア、マダガスカル、モルディブ、マリ、マルタ、モーリタニア、モンゴル、モロッコ、モザンビーク、ナンビア、ニカラグア、ナイジェリア、パキスタン、ペルー、ポーランド、カタール、ルーマニア、サオトーム・エ・プリンシブ、セイシェル、シエラレオネ、ソマリア、南アフリカ、スリランカ、スーダン、スリナム、スワジランド、シリア、タンザニア、トーゴ、チュニジア、ウガンダ、ソビエト(ロシア)、旧ソ連圏、CIS所属国家、UAE、ベトナム、北イエメン、南イエメン、ユーゴスラビア(セルビア・モンテネグロ)、コソボ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、チェチェン、クロアチア、ザイール、ザンビア、ジンバブエ他
[GUN'S DATA]
■MODEL AK47 TYPE I
■MANUFACTURER U.S.S.R. NATIONAL FACTORY
■OVER ALL LENGTH 862mm
■BARREL LENGTH 416mm
■RIFLING 4 GROOVES RH
■WEIGHT 4085g
■CARTRIDGE 7.62x39mm
■FIRING SYSTEM GAS PISTON
■FIRING MODE SEMI/FULL
■MUZZLE VELOCITY 710m/s
■CYCLIC RATE 600rds/min
■MAGAZINE CAPACITY 30 ROUND BOX

[GUN'S DATA]
■MODEL AK47 TYPE II
■MANUFACTURER U.S.S.R. NATIONAL FACTORY
■OVER ALL LENGTH 870mm
■BARREL LENGTH 416mm
■RIFLING 4 GROOVES RH
■WEIGHT 4125g
■CARTRIDGE 7.62x39mm
■FIRING SYSTEM GAS PISTON
■FIRING MODE SEMI/FULL
■MUZZLE VELOCITY 710m/s
■CYCLIC RATE 600rds/min
■MAGAZINE CAPACITY 30 ROUND BOX

[GUN'S DATA]
■MODEL AK47 TYPE III
■MANUFACTURER U.S.S.R. NATIONAL FACTORY
■OVER ALL LENGTH 870mm
■BARREL LENGTH 416mm
■RIFLING 4 GROOVES RH
■WEIGHT 3900g
■CARTRIDGE 7.62x39mm
■FIRING SYSTEM GAS PISTON
■FIRING MODE SEMI/FULL
■MUZZLE VELOCITY 710m/s
■CYCLIC RATE 600rds/min
■MAGAZINE CAPACITY 30 ROUND BOX