HECKLER & KOCH
G3A4
CETME M58ライフルとG3ライフル
CETME(セントロ・デ・エスタディオス・テクニコス・デ・マテリアーレス・エスペシアール)は第二次世界大戦後に発足したスペインの兵器研究機関である。CETMEは第二次世界大戦後、ドイツ本国で職を失ったドイツ人技術者を積極的に雇用し、兵器開発を行った。CETMEに雇用されたドイツ人技術者の一人ルドウィック・フォルグリムラーはその過程に於いて戦時中ドイツ・モーゼル社が考案したアサルトライフルStG45の持つローラーロッキング/ディレイドブローバック機構を発展させ、近代的な戦後第一世代アサルトライフルを設計した。これらの機構設計にはフォルグリムラーをはじめ多くの元モーゼル、StG45設計スタッフが参加しており、マドリード郊外で完成させたライフルは高品質、低コストのライフルとなった。
CETMEライフルの最初のプロダクトモデルのA型は木製ストックとスチールプレスフレーム、バイポッドを備えた形状を持っており、弾倉は20発の箱形を採用。また銃の携行性を高める為にキャリングハンドルを備えていた。口径は7.62x51mmで一般的なNATO弾規格と同一のものであった。
スペインのオビエド造兵廠(現サンタ・バーバラSA)で完成したCETMEライフルモデロAは1956年に西ドイツ軍によって約400梃が試験目的で購入され、ドイツ軍ではこれに若干の改良を加える事で制式化を検討した。

G3ライフルの制式化
CETMEは開発期間であり大量生産のラインを持たない事からCETMEライフルのライセンス権購入メーカーを広く募った。ドイツではモーゼル社系の流れを組む社員で構成されたH&K(ヘッケラー&コッホ)社でライセンスを獲得。ドイツ軍では弱装弾を使用するモデロAではなくフルスケールの7.62x51mmNATO弾を使用するモデロB(モデロ58)をライセンス生産する事になった。
西ドイツ軍はヘッケラー&コッホ社とオランダのセトメライフルライセンス製造部門NWM社との間でライセンス製造に関する契約を完了。モデロ58をG3(Gewehr3)のテストネームで試験を繰り返した。
試作段階でバイポッドは除外された。、レシーバー中央部分に配置されたリアサイトはレシーバー後方に移動され、最終的にはH&K社オリジナルデザインのドラム式リアサイトが装着された。
1961年に西ドイツ軍はG3をこれまで使用してきたFN社製G1(FAL)に交代する形で制式採用とした。制式採用の際にもG3の名称は変更されることはなくそのまま継続して使用された。初期生産型のG3は金属製または木製のハンドガードに木製のストックを装備していたが、後期モデルではストック、ハンドガード共にグリーンに塗装されたプラスチックファイバー製に変更され、フラッシュハイダーのデザインも変更されている。西ドイツ軍では初期段階にG3を700,000梃受注しその多くはH&K社が製造、一部はラインメタル社でも製造された。

G3の基本構造はセトメライフルと同一で、反動利用方式のローラーロッキング方式のディレイドブローバックを採用。これは第二次世界大戦中のドイツで開発された半閉鎖摩擦方式のボルト設計理論で、ボルト左右から突き出したローラーをバレルエクステンションの溝に食い込ませ摩擦を生じさせ一定時間ボルトが開かない構造になっている。射撃後ローラーはガス圧によって制御されボルト後退までの時差を作り出し安全性を確保しつつ
弾丸を押し出す。ローラーロッキング方式は射撃の反動を大幅に抑制し訓練を受けて間もない兵士でも高い命中精度を維持することができる。この事から徴兵システムや専門的な訓練を長期間受けられない民兵の多いアフリカ、アジア、中東諸国でも販売数を伸ばす事となった。
H&K社ではこのG3をシステムウエポンとして同社の機軸小火器に設定し多くのバリエーションを作り出していく。初期のH&K社では大きく3つのカテゴリーにシステムを体系化し多くのバリエーション展開を行い海外のマーケットで成功を収めていく。システムの中心はG3ライフルシリーズを中心にしたもので口径7.62x51mmのライフルで構成されグループIと呼称した。この他に当時アメリカ軍が使用を開始した5.56x45mm小口径弾に合わせて開発したグループII、東欧市場を睨んだ7.62x39mm弾(AKライフル用弾薬)用のグループIIIをラインナップとした。
このG3シリーズ及び後に開発されるMP5サブマシンガンシリーズの普及により、戦後の後発弱小メーカーとしてスタートしたドイツのH&K社は躍進し現在では世界屈指の銃器メーカーとしてその地位を維持している。
G3シリーズはグループI〜IIIの全シリーズに共通して使用可能なスコープマウントが用意されている。また各グループはすべて同一の弾倉が使用できるように設計している。
G3はNATOの第一世代アサルトライフルのFALと共にマーケットで成功を収め、ヨーロッパで10ヵ国、中南米で9ヵ国、中近東で8ヵ国、アジアで7ヵ国、アフリカの15ヵ国が採用した。特に90年代以降では中東、アフリカ地域の国家が政情不安に陥りテロリストや反政府ゲリラの手にも多くのG3とそのバリエーションモデルが使用されている。代表的な採用国はドイツ、ノルウェー、スウェーデン、ポルトガル、トルコ、ギリシア、メキシコ、イラン、アイスランド他。

G3A4ライフル
G3A4はH&K社の傑作ライフルG3A2シリーズの後継バリエーションモデルで、主に空挺部隊や機甲部隊などへの支給を前提に考案された。2段階の金属製可変ストックは射撃ポジションと携行ポジションを選択可能で、携行時には全長の長いG3をコンパクトに収納しておく事が可能になっている。G3A4が他の空挺、折り畳みストックモデルと比べ優れている点は、ストックが側面や前方に倒れることなくそのままレシーバー方向に縮まる点である。このデザインにより、サイドスイング式の銃などで発生したストック折り畳み時にセレクターやボルトの操作ができなくなるという問題を解決している。通常ストックを畳んだ状態での射撃は行わないが空挺部隊などでは着地後即座に反撃が必要な場合などには有効になる。車両要員にとっても横幅を増すことなく収納できるG3A4は狭いコクピット内ではまた有効なのである。
HECKLER & KOCH社
ドイツを代表する銃器製造メーカーに成長したHECKLER&KOCH社(H&K社)は1949年に12月に会社を設立し1950年から本格的な操業を開始した。第二次世界大戦以前のドイツ銃器産業は1811年にフリードリッヒ一世の命令で作られた王立兵器工場がその起源とされており1812年に133人の技師、労働者で操業を開始。それから約50年後の1867年にはヴィルヘルム・モーゼルとポール・モーゼルによって小銃向けの閉鎖式ボルト機構が開発されると1871年にはこの工場の生産するM71ライフルがドイツ軍制式採用銃として納入されることになった。この後1897年にこの工場はモーゼルAG武器工場(Waffen Fabrik)と改名。ドイツを代表する兵器産業モーゼル社となった。1898年にはドイツ軍の新型ライフルINFANTRY RIFLE MODEL98(GEWEHR98)が完成し後のドイツ軍歩兵小銃Kar98kに発展していく。第二次世界大戦に敗れたドイツでは武装解除が進みモーゼルの武器工場もフランス軍によって解体された。この結果モーゼル社に在籍していた技術者達は職を求めて各国に飛散していくがその技術者の中でエドモンド・ヘッケラーとテオドール・コッホが技術者達を糾合し1949年にHECKLER&KOCH社を設立するに至った。モーゼルの血を引く同社は戦後まもなく彼らの保有する工作機械を利用して自動車部品や自転車の製造を行った。これはドイツ国内で武器の製造が懸念された僅かな期間の出来事でありH&K社はこの後すぐに銃器の製造を開始する。H&K社は1959年にモーゼル時代より受け継いだ技術を結集しローラーロッキングボルトシステムを持つG3アサルトライフルを完成させる。この特徴的システムは当時世界の軍隊で採用が始まったオートマチックライフルの命中精度を画期的に向上させるもので当時の同世代ライフルの水準をあらゆる面で上回っていた。G3は再建段階にあった西ドイツ軍の制式採用ライフルとなりその後も世界の50ヵ国以上で採用。現在までに300万挺以上が生産されている。1960年代にはポリゴナルプロファイルと呼ばれる多角形銃身を開発し銃身の寿命を飛躍的に延ばしガス圧を有効利用するための設計に成功している。こうした最先端の技術を小銃に投入することによりH&K社は世界的にも高水準な銃器メーカーとして躍進していく。H&K社の第二の成功は1966年に西ドイツ国境警備隊に採用されたMP5(Maschinen Pistole 5)サブマシンガンであった。MP5は世界初のローラーディレイドブローバックを搭載したアサルトライフルStG44のシステムを元に製作された小型のマシンピストルでそれ以前のサブマシンガンには無かった優れた命中精度を持ち70年代以降世界各国で発足が始まった対テロ特殊部隊に次々に採用されていく。またピストル分野での開発も顕著で1970年代末にはP7シリーズを発表。独自のアイディアを盛り込んだP7はドイツの対テロ部隊GSG-9などに採用されている。1976年にはアメリカのマーケットに対応するために現地法人を設立。1970年代半ばにはドイツ連邦軍の要望で新型のケースレス弾薬を使用するG11ライフルの開発にも携わっている。G11はその後20年近く開発が続けられたが冷戦の終結など多くの理由から開発が中止されたがH&K社ではさらなる新技術と製品の開発を続け1980年代には世界最高レベルの命中精度を持つセミオートマチック狙撃銃PSG-1を発表する。また1990年にはUSPピストル、90年代中盤にはSOCOM ピストルを完成させこれらの銃は全て各国の軍、特殊部隊に使用されている。この様な経緯からH&K社は戦後最も成功した銃器産業といえる。現在ではドイツ軍の新型小銃G36を生産する他、多数のMP5バリエーションモデル、G3バリエーション、ピストル、狙撃銃、マシンガンなど全ての分野の銃器を制作している。2001年にはH&K社の所有権はBAEシステムズに変更されたものの現在も変わらない高性能火器を供給し続けている。このため、警察関係者などでは評判も良く、徐々に採用を増やしている。10mmS&Wモデルは近年ささやかれている9mm弾のパワー不足を補う物で、45ACPとの中間に位置する弾丸である。10mm弾丸は命中率も高く反動も45ACP以下となっているためにサブマシンガンにも多く採用され始めている。同社の傑作SMG、MP5シリーズにも10mmモデルがラインナップされている。USPは新世代のピストルであり、21世紀のコンバットピストルの金字塔として多くの公安関係組織に採用をされている。
G3KA4
G3KA4は特殊部隊、空挺部隊向けに開発された銃身短縮モデルのG3A4である。全長の長いG3シリーズは市街地や閉所での使用が困難な為、その長い銃身を短縮したモデルが数種類製造された。G3KA4は銃身をハンドガードの位置まで短縮している。銃身を短縮した結果ライフルグレネードの使用はできなくなっているものの、取り回しの良いライフルになっている。
[GUN'S DATA]
■MODEL G3A4
■MANUFACTURER H&K/GERMAN
■OVER ALL LENGTH 800/1020mm
■BARREL LENGTH 450mm
■RIFLING 4 GROOVES RH
■WEIGHT 4750g
■CARTRIDGE 7.62x51mm NATO
■FIRING SYSTEM Roller Delayed Blowback
■FIRING MODE SEMI/FULL
■MUZZLE VELOCITY 800m/s
■CYCLIC RATE 500-600rds/min
■MAGAZINE CAPACITY 20 ROUND BOX
[GUN'S DATA]
■MODEL G3A4
■MANUFACTURER H&K/GERMAN
■OVER ALL LENGTH 664/884mm
■BARREL LENGTH 314mm
■RIFLING 4 GROOVES RH
■WEIGHT 4500g
■CARTRIDGE 7.62x51mm NATO
■FIRING SYSTEM Roller Delayed Blowback
■FIRING MODE SEMI/FULL
■MUZZLE VELOCITY 800m/s
■CYCLIC RATE 500-600rds/min
■MAGAZINE CAPACITY 20 ROUND BOX