STEYER MANNLICHER
AUG (Armee Universal Gewehr) A1
STG77 |
 |
ステアーマインリッヒャーの開発したAUG(アーミー・ユニバーサル・ゲーベル:市販名)アサルトライフルは世界初のブルパップ方式による実用アサルトライフルである。AUGは世界初のブルパップライフルであると同時に機関部をトリガーシステムよりも後部に配するブルパップライフルの中でも異色の形状を持っている。第二次世界大戦の敗戦国であるオーストリアでは火器の製造は大きく制限されたが戦後、共和国となって本格的軍用小火器の製造が可能となった。オーストリア軍発足当初はベルギー製FALのライセンスモデルSTG-57に代わるアサルトライフルの開発を開始。
新型アサルトライフルの設計にはエンジニアとしてホルスト・ウエスプ、カール・モーサー、カール・ワーグナーの3人が関わり、オーストリア軍からはウォルター・ストール大佐が技術要因として派遣された。
新型アサルトライフルは設計段階から最新の技術を取り入れていた。フレーム部分には当時としては画期的なプラスチックパーツを多用し徹底的な軽量化を図り当時はまだ実用化されていなかったブルパップ構造を設計に取り入れた。
プラスチックを多用し人間工学に基づいた曲線を多用したフォルムは近未来的でM16ライフルが登場した時以上に衝撃的なものとなった。射撃はセミ、フルオート射撃がそれぞれ可能だが、多くのアサルトライフルに見られるセレクターによる切り替え方式ではなく、トリガーコントロールのみでセミ/フルオートのコントロールが可能になっている。トリガーを半分まで引くとセミオート、最後まで引くとフルオート射撃が可能である。またバレルはリリースボタンを操作することで排除可能でメンテナンス性に優れるほか、標準の460mmバレルの他にカービンサイズの407mmパラモデルの350mm、分隊支援用のバイポッド付き621mmバレルにそれぞれ交換が可能。またバレル、ボルト、ボルトキャリアを交換し専用のマガジンハウジングを装着することで9mm弾を発射するSMG仕様にも変換可能になっておりシステムウエポンとして優れた拡張性を持っている。ステアーの照準システムにはブルパップライフルの特性である照準間隔の短さから1.5倍の低倍率スコープを標準サイトとし、その上部に小型のアイアンサイトを設置している。グリップ前方には折り畳み式のフォアグリップが装備されトリガーガードは寒冷地などでグローブを装備しても容易に使用できる大型のタイプが採用された。軽量化の一環でマガジンはこの時代では珍しくプラスチック製を採用。補強の為のリブをワッフル状に配置している。このマガジンはシースルー(半透明)のプラスチック製で残弾を容易に確認できるなど徹底した配慮を行っている。
一方で内部機構は極めて堅実な設計でマイクロロッキングラグを備えたガスピストン方式でボルトロッキングにはロータリー方式を採用している。
AUGは地元オーストリアがSTG77として1978年に正式採用し、その後性能を認めた各国が一般部隊や対テロ部隊に採用を始めた。
STG-77はAUG(Armee Universal Gewehr)というコマーシャルネームで積極的に輸出も行われオーストラリア(F88)、ニュージーランド、アイルランド、サウジアラビア、チュニジア、オマーン、マレーシア、ノルウェーで制式採用になっている他、フランスの対テロ部隊GIGNなども使用している。 |
 |
| ステアーの外観は1970年代の銃としてはあまりにも斬新であったが性能は極めて良好で各国が採用した。グリップは収納弾倉はプラスチック製。イジェクションポートは左右兼用だがチャージングハンドルは左側面に固定となっている。 |
 |
ブルパップライフル(Bullpup Rifle)
ブルパップライフルとは第二次世界大戦後に小口径アサルトライフルが各国に普及していく中で開発されたライフルの構造システムの名称である。従来のライフルはトリガーよりも前方に弾倉、ボルト、チャンバーなどの射撃機構を配置しているが機械化歩兵が歩兵の主役になりつつあった70年代以降は車内での保持性や市街地での戦闘などを考慮し、より小型で機動性に富んだアサルトライフルの必要性が高まっていた。第二次世界大戦中または戦後の多くの歩兵用ライフルが1100mm前後であったのに対して小口径アサルトライフルの多くは900〜1000mmと小型化していたものの近代歩兵の戦術や運用を考慮すればまだまだ十分なコンパクトさとは言い難かった。 これに対して十分なメンテナンス性、命中精度などを維持したままで銃を小型化する事が課題となった。トリガー前方に射撃機構、弾倉を持つ従来のライフルの多くは銃身を短縮化しストックを伸縮または可倒式としていたが、バレルの短縮化は短縮以前の銃身と同じ命中精度を維持する事は不可能であり、またストックは射撃時に通常の長さまで戻さなければならなかったのでスタンダードサイズのアサルトライフルの性能を維持したままでの短縮化とは言えなかった。それらのモデルは現在でもカービンやコマンドーサブマシンガンなどの名称でコンパクト/ショーティのバリエーションモデルとして世界的に普及しているものの用途としては主に空挺部隊や特殊部隊用という限定的な目的に留まっている。
対するブルパップ方式のライフルは多くの歩兵用ライフルでデッドスペースとなっていたトリガー後方のストック部分に着目し、そのスペースに本来トリガー前方のメインフレームにあるべき射撃機構、弾倉などを収納しトリガー前方のメインフレームを省略、そのスペース分銃身を後退させ銃身の長さを変更することなく銃の全長を短縮するというものであった。これによりブルパップライフルは750〜800mmというコンパクトサイズのアサルトライフルとして設計が可能で、銃身を短縮したカービンモデルを製作した場合さらなる短縮も可能となった。
ブルパップ方式はいくつかの国で着目され設計、開発が繰り返されており、当時イギリスのEM-1/2(後のL85A1のベースモデル)やフランスのFA-MAS
F1などが同時期に研究されていたがいち早く実用化に至ったのはベルギーのステアー社であった。
ブルパップライフルの特性と欠点
銃身の長さを変更する事無くアサルトライフルの全長を短縮できるブルパップ方式は革新的であり、よりコンパクトな火器を求める現代歩兵にとっては理想的な火器の一つであるが、多くの国では未だにトリガー前方に機関部を置く従来のシステムを使用してる国も多い。カラシニコフやM16シリーズ、HK社製G3、G36などブルパップライフル登場以降に通常型ライフルを採用する国も多い。
これらアサルトライフルの選択の相違はブルパップライフルの特性によって分かれる。皮肉なことにブルパップライフルの最大の特性は全長の短縮化にあったが、結果的に発生した欠点はすべて全長が短縮された事に関係する。
ブルパップライフルはストックのデッドスペースを利用し機関部をトリガー後方に移設し銃身長を維持したまま全長を短縮したものであるが後方に機関部を配置した結果イジェクションポートがストック部分に配置され薬莢の排出がストック部分で行われる事になった。ストック部分での排莢はカートリッジが顔面を直撃する可能性を持つ他、排莢口が通常のライフル同様に片方(右側面)にのみ設置されていると左利きの射手または都市部での市街戦射撃に於ける左手での射撃が不可能になる。またカートリッジと共に出る排煙が目に影響を与え照準動作に影響する。この為多くのブルパップライフルにはボルトを反転可能な様に設計にして左右どちらからでも排莢する事ができるようにしている。但しイジェクションポートの転換にはライフルの分解が必要で戦闘中に銃を持ち帰る際には有効ではない。この為目を保護するシューティンググラス、タクティカルゴーグルの装備が有効である。さらに機関部がストックにある為激発位置が耳元に近く射撃時に聴力の低下を招きやすい。
この他の排莢法としてはブルパップ方式のSMGとしてはFN社製P90が存在するがこちらは緊急用のサバイバルウエポンとしての性格が強い。排莢問題を解決する為にイジェクションポートをフレーム下方に設けカートリッジを真下に排出するが特殊用途とそて屋内などで使用する際にはカートリッジが床に散乱する為前進射撃、歩行時に障害となる可能性が高い。この為CQB用途ではカートキャッチャーを装備して対応する。
全長の短縮化はサイト間隔の短縮化も招いた。サイト間隔はリアサイト(照門)からフロントサイト(照星)までの距離でこの距離が長ければ長いほど命中精度が高くなる。逆に短ければ遠距離での精度は低下する。ブルパップライフルでは全体が短くなっているためサイトの間隔が極端に短くなってしまう。この問題への対策は現在2通りの方法で回避策が採られている。
一つはステアーAUGを始めエンフィールドL85A1、ベクターCR21、CIS SAR21、IMIタボール21など多くのブルパップライフルが採用している光学式スコープを使用する方式である。短いサイト間隔を補うために無倍率または1.5〜4倍前後の光学式スコープを搭載し遠距離での精密射撃に対応している。近年のブルパップモデルではスコープが固定式のタイプの他にモジュラーマウントを装備し目的に応じた光学機器を装着できるものも存在する。スコープが破損、使用不能な状況下や近接射撃に対応する為多くのモデルがバックアップのアイアンサイトを持つ。
光学機器の使用はそれ自体命中精度の向上に繋がる事からブルパップライフルと光学機器のコンビネーションは歩兵の練度が低い第三世界の兵士や徴兵制度を持つ国家向けにも有効な火器として期待されている。
別の対策としてはアイアンサイトをそのままメインサイトとして使用する方式がる。この場合遠距離での射撃精度を向上させる為の措置としてバイポッドが装備されている。フランスのFA-MAS F1、G1などが代表的なモデルでライフルのコストが光学サイト装備モデルよりも安価で操作がシンプルである反面、バイポッドが重量増加を招く。またバイポッドが使用できない状況下では命中精度が低下する。この他中国製95式アサルトライフルの様にアイアンサイトを持ちバイポッドを持たないモデルも存在する。
ブルパップライフルのこの他の欠点としては銃剣の利用が困難な点である。歩兵の基本的な近接武器として銃剣は現在でも使用されており軍用ライフルには銃剣装着用のラッチが必ず装備されている。ブルパップライフルに銃剣を装着する事自体には問題は無いが短い全長と刺突に不適切な形状と重量バランスから銃剣戦闘に限りなく不適合なものとなってしまったのだ。この為銃剣装着機構の無いブルパップライフルも存在する。
この様な多くの欠点を持ち合わせているがそれでも今日の近代歩兵戦術や運用を考えれば歩兵用ライフルとして優れた要素を持っており、これからもブルパップライフルの採用国は増え続けると見られている。
この他のブルパップ方式を利用しているライフルとしてはWA2000、バレットなど狙撃銃が存在する。これらのスナイパーライフルもアサルトライフル同様全長の短縮を目的として設計されている。
|
 |
| ステアーAUGには専用のバヨネットも装着可能。ブルパップライフルの特性上有利な銃剣戦闘を行うことは困難であるが歩兵用の必携装備として最低限の機能を有している。 |
 |
| マズルサプレッサーはスリットタイプを採用。フォアグリップは折り畳み式で車載時や空挺降下時には収納しておくことができる。(写真下) |
 |
 |
| イジェクションポートは左右変更が可能。スコープは1.5倍率で中距離〜遠距離戦にも十分に使用できる倍率となっている。スコープチューブ上部にはアイアンサイトがバックアップとして配置されており近接戦ではこちらを使用しても有効な命中精度を確保できる。 |
 |
STYER MANNLICHER(ステアーマインリッヒャー社)
オーストリアの銃工業は14世紀以来の伝統を持っており、古くからマスケット銃や騎兵用のカービン銃を生産していた。1864年にヨーゼフ フェンドル(Josef
Werndl)によって創設されたステアーマンリッヒャーはその伝統を受け継ぐ重工・銃器産業としてオーストリアの銃器産業の中心的役割を担っている。1867年にはオーストリア軍の発注で軍用ライフルを製造し50万挺以上のライフルを生産した。1914年には新工場を建設し第一次世界大戦時には銃の他に航空機のエンジンやバイクの生産を行った。第一次世界大戦が終了するとオーストリアでは武器の生産が禁止され経済的打撃を受け第二次世界大戦にも再び大きな被害を受けたステアー社はその後経営を縮小し武器製造を停止していたが1950年にハンティング用など一部の火器の生産が許可される。共和国となったオーストリアでは国家の再建と再軍備が開始されステアー社では当時のオーストリア軍にベルギー製FALのライセンス生産モデルSTG-57を供給した。1970年代にはSTG-57に代わる小口径新型ライフルの開発を開始。1977年には世界初の実用ブルパップ構造のアサルトライフルSTG-77が完成。1978年から供給が開始された。STG-77の性能は優れたものでオーストリア軍以外にもオーストラリア(F88)、ニュージーランドなど多くの国で採用が決定した。1987年にはダイムラーステアープーチ(Steyr
Daimler Puch AG)から分離、現在のステアーマンリッヒャー(STEYER MANNLICHER)となる。1994年にはドイツの狩猟銃メーカーSuhler
Jagd und Sportwaffenを買収。現在ではピストルから狙撃銃、軍用ライフルまでを製造する総合銃器産業として世界規模で商業展開を行っている。 |
| [GUN'S DATA] |
| ■MODEL |
AUG A1/STG-77 |
|
| ■MANUFACTURER |
STEYR/AUSTRIA |
|
| ■OVER ALL LENGTH |
790mm |
|
| ■BARREL LENGTH |
508mm |
|
| ■RIFLING |
6 GROOVES RH |
|
| ■WEIGHT |
3600g |
|
| ■CARTRIDGE |
5.56x45mm |
|
| ■FIRING SYSTEM |
GAS PISTON |
|
| ■FIRING MODE |
SEMI/FULL |
|
| ■MUZZLE VELOCITY |
970m/s |
|
| ■CYCLIC RATE |
650rds/min |
|
| ■MAGAZINE CAPACITY |
30+1/42+1 ROUND BOX |
|
|