U.S Rifle, Caliber 30, M1903
INFANTRY RIFLE
M1903ライフルはアメリカ軍が1903年に制式採用したボルトアクションライフルである。アメリカ軍に関わらず多くの西洋列強各国は19世紀後半に多数のボルトアクションアイフルを開発、使用していた。アメリカ軍でも、M1892/96クラッグヨルゲンセンライフル、M1885レミントン・リー、更にはトラップドア方式の単発ライフルスプリングフィールドM1873など多くの歩兵用小銃が混在し使用されていた。ボルトアクションライフルはこの時代創生期にあり多くの開発者が決定的な装填方式と弾薬を模索していた。
そんな中革新的なボルト機構を持つライフルとして開発されたのがドイツのモーゼルが製作したGew98であった。モーゼル式ボルトアクションとはボルトハンドルを回転させボルトを後退。後退するアクションでカートリッジの排莢を行い、ボルトの前進時に次弾がボルト底部に備えられた弾倉から一発押し上げられ薬室(チェンバー)内に装填されるというものであった。これは現在のボルトアクションとしてはごくありふれた構造であるが当時としては優れたもので事実これ以降に登場するボルトアクション方式のライフルはこのシステムを採用している。また19世紀後半は多くのライフルが無煙火薬を弾薬に使用し銃と弾丸の持つ命中精度、破壊力などが飛躍的に向上している。この様な背景の中、アメリカ軍は混在する多くのライフルに代わる新型小銃としてモーゼル式ボルトアクション方式を持つ連発式(この場合の連発とはフルオートやセミオートではなく銃本体に弾倉を持つ連続発射可能なライフル、シングルショットの様な単発式では無い事を意味する)新型小銃を開発する。モーゼル社からパテントを購入しスプリングフィールド国営工廠で開発が行われ1903年には量産を開始。モデル名M1903と名付けられた。M1903は後にレミントンなどいくつかの工場でも生産される事になる。
M1903はボルトアクション方式に加え、モーゼル式でもう一つ一般的になった金属クリップで弾薬を纏めて装填する技術、クリップ式弾倉を採用していた。クリップに束ねられた弾丸は素早く装填作業を完了し、射撃体勢に入れる事から、内部に回転式弾倉を持つロータリー式と共にボルトアクションの一般的な弾倉方式となった。当初弾薬は30口径(7.62mm)の30-03弾を使用したが1906年に開発された新型弾薬30-06(Cartridge, Ball, Caliber .30, Model of 1906)に変更されている。この弾薬はこれ以降M1ガーランドにも使用される事になる。
M1903は当時の陸軍、海軍などのそれまでの複雑な銃器大系を刷新するものとなり、いくつかの改良を得て第一次世界大戦を迎える事になる。M1903は第一次世界大戦を大きな問題を抱える事なく乗り切り、第二次世界大戦までに数度の改良を受け、1929年にはM1903A1が誕生。1930年代には砲兵や後方部隊向けの短縮モデルM1903A2が生産された。
1936年には30-06口径のセルフローディング式新型小銃M1(ガーランド)が採用されたものの、予算の関係からM1の大量配備が見送られ第二次世界大戦の初期にはM1903が大量に使用された。
1942年から増産が始まったこのモデルは生産性を向上させたM1903A3モデルであった。スプリングフィールド国営工廠でM1ガーランドの増産などが行われた事からM1903A3の生産にはロックアイランド工廠の他に民間のレミントン・アームズ社、スミス・コロナ・タイプライター社の民間委託体制で行った。
M1903はM1ガーランドの生産配備が完了した後も生産され狙撃部隊やレンジャー、コマンドー部隊、狙撃兵に使用され続けた。M1903シリーズにも幾つかの欠点が存在したが、代表的な物としては装弾数の低さで、5発という装弾数は当時の銃器としてもあまり多くは無かった。
M1903はオートマチックライフルが登場した後もその優れた命中精度と射程から特に狙撃兵に好まれ、1942年にはM1903A3を改良しスコープを搭載したM1903A4が登場する。M1903A4はその後朝鮮戦争でも使用される。
M1903シリーズは朝鮮戦争中に姿を消していき、ベトナム戦争までにはほぼ姿を消したが狙撃部隊などで少数が使われたとされている。
M1903A3

●M1903のモデル別特徴

M1903
M1903ライフルの初期モデル。当初は30-03弾を使用しており、スパイクバヨネットを装着可能だった。1905年にスパイクバヨネットをナイフ型に変更し照準システムも変更した。1906年にはM1ガーランド、BARにも使用される事になる30-06弾に弾薬を変更。

M1903A1
1929年にM1903の改良モデルとして採用されたものでC型銃床を採用

M1903A2
1930年代に採用されたM1903A1の短縮モデル。主に砲兵や後方部隊向けにデザインされM1903がA3が採用された後は同じ工法で生産された。

M1903A3
1942年に大量生産の為にプレス工法を採用して生産されたモデル。ストック形状が大幅に変更されリアサイトの形状、設置位置を変更。S型銃床となる。

M1903A4 Special Target
1942年にM1903の狙撃用モデルとして製造された。M73、M73B1スコープを搭載し銃床も現在の狙撃ライフルに近い形状となっている。海兵隊ではM1941狙撃ライフルとしてユナートルx7.8バーミットスコープを搭載。同時期の狙撃銃としてはM1C、M1Dといったガーランドベースの狙撃銃も存在したが有効射程距離ではM1903が優れていた為長距離射撃に使用された。スコープ搭載モデルは装填口部分にスコーがありクリップ装填が行えない為、弾丸を手動で装填できる様になっている。
ボルトブロックは複雑で特異な形状をしている。ボルト上部のレバーはボルトを固定する為のセーフティ。複雑な形状のボルト後部にはセーフティが装備されている。セーフティはボルト後方のノブを引き、上部のセレクターを回転させる事で機能する。(写真右)
フレーム後方に配置されたON/OFFスイッチは銃本体の弾倉を使用する為の装置でOFFモードではボルトの後退両が減少し弾倉から弾薬が上昇しない設計になっている。当時のアメリカ軍の遠距離射撃では主にOFFモードを使用して射撃を行い、次弾装填は手を使って直接薬室内に弾薬を装填し、近接戦時など、連続射撃を行う場合には弾倉をONにして使用した。
[GUN'S DATA]
■MODEL M1903
■MANUFACTURER SPRINGFIELD NATIONAL ARMORY/USA
■OVER ALL LENGTH 1098mm
■BARREL LENGTH 610mm
■RIFLING 4 GROOVES LH
■WEIGHT 3940g
■CARTRIDGE 30-06
30-03(Past Model)
■FIRING SYSTEM BOLT ACTION
■FIRING MODE SINGLE SHOT
■MUZZLE VELOCITY 820m/s(30-06)
■CYCLIC RATE ---rds/min
■MAGAZINE CAPACITY 5 ROUND FIX
[GUN'S DATA]
■MODEL M1903A3
■MANUFACTURER SPRINGFIELD NATIONAL ARMORY/USA
■OVER ALL LENGTH 1098mm
■BARREL LENGTH 610mm
■RIFLING 4 GROOVES LH
■WEIGHT 4000g
■CARTRIDGE 30-06
■FIRING SYSTEM BOLT ACTION
■FIRING MODE SINGLE SHOT
■MUZZLE VELOCITY 820m/s(30-06)
■CYCLIC RATE ---rds/min
■MAGAZINE CAPACITY 5 ROUND FIX