ロマ問題
ロマとはジプシーとして知られる流浪の民族で15世紀頃にヨーロッパに現れた。定住することなくヨーロッパ各地を放浪してきたアーリア系民族で紀元1000年頃にインド北西部からヨーロッパ方面に移動してきたと考えられている。ジプシーは当時エジプト商人を名乗り偽の通行証を使用して世界を渡ったことからエジプト人を意味するジプシーと呼ばれた。第二次世界大戦のナチスドイツによるユダヤ人虐殺は有名だがジプシーも民族絶滅作戦により50万人以上が犠牲となっていたことはあまり知られていない。
彼らは独特の舞踊、音楽を持ちドイツが分断されていた頃でも自由に東西のドイツを移動することが出来た。1989年ベルリンの壁崩壊以降はヨーロッパ各国でジプシーの問題が噴出し様々な差別や弾圧が起きている。経済基盤や定住地を持たないジプシーは各国の都市郊外に住み着き住民との摩擦を起こすなどしている他チェコでは悪臭や不衛生を理由にジプシーの居住する地域を隔離するなどして国際社会から批判されている。コソボではセルビア人の先兵としてジプシー達がアルバニア人を攻撃したとして報復を行うなど迫害は厳しいものとなっている。また近年ではジプシーという呼称が西欧人が彼らに与えた呼称であり侮蔑の意味が含まれるとして彼ら自身の使用するロマという言葉で呼称する事になっている。