メキシコ先住民問題
メキシコは500年前のコロンブス新大陸発見によりスペインに侵攻された。1500年代にはアステカ王国が滅亡しマヤ人の末裔である先住民達は弾圧されていく。現在では900万人が先住民とされ人口の1割となっている。メキシコ最南部のチアパス州(地図緑色の地帯)は25%が先住民で貧困層が住む忘れられた土地と呼ばれている。北部アカプルコや首都などではアメリカ企業がひしめきブランドショップが建ち並ぶ保養地などがある一方南部の先住民居住地域では一日500円程度の収入しか得られないなど経済格差が広がっている。また字の読めない住民がメキシコで最も多くトイレ、下水、電気などの設備も殆ど整備されていない。1990年代に入っても州支配者による弾圧、不当逮捕、拷問などが行われ住民の不満は高まる一方である。
そんな中1994年1月にチアパス州のサンクリストバル・デ・ラスカサスを中心に反政府組織が武装蜂起。サパティスタ民族解放軍(EZLN)を名乗り陸軍基地、市庁舎などに攻撃を仕掛けた。
彼らは「ラカンドン密林宣言」を発表しマヤ系住民の生活向上と差別撤廃の為の闘争を宣言した。これに対してメキシコのサリナス大統領はチアパス州全体に軍隊を派遣。EZLN支配地域に空爆を行い陸軍部隊とEZLNの戦闘が激化。数百名の犠牲者を出した。
2000年7月にビセンテ・フォックス大統領が就任するとEZLNに対する対話を開始。一方で政府はゲリラの殲滅作戦を並行的に行い先住民が虐殺されるなどの事態が起きたため和平は一進一退の展開になった。国際社会の非難や協力もあり現在も交渉とさぐり合いが継続されている。