TOKYO MARUI
U.S. RIFLE 7.62MM M14
ファイバーストックモデル
AEG
今回は東京マルイ製M14AEGのレビューをしてみます。発売から何年も経つ銃ですが、レビュー出来るようなノーマルの個体を入手したので消化試合的な感覚で行ってみます。AEG主流の時代になってからユーザーの間ではM14の発売を希望する声がかなりあったと思いますが、セミ重視の雰囲気の狙撃向けの長いライフルでユーザーアンケート常に上位だったPSG-1という銃が・・・おや?誰か来たようだすまんがまた後で電話する・・・
そんな訳でこちらは発売が待たれた頃はまだベトナム戦争のリエナクトメントとか全盛でったのですが、ようやっと発売した時には2005年対テロ戦争まっさかりの時代でした。既にフィールドでは現用特殊部隊ブームが到来していてベトナム装備の人なんてまず見ない状態になってました。しかしその現用でもアフガンやイラクの長距離射撃戦に威力を見出され、ベトナム戦争時のM21よろしく奇跡のカムバックを果たしていたのでマルイとしては珍しく現用スタイルを模したODカラーのファイバーストックモデルとプラ製ながら木目を再現したウッドストックモデルの2種同時発売という戦略に出ました。筆者はその昔ネモトガンワークスさんでモデルガンを改造したM14を購入するほどM14が好きだったので、発売時には予約して初期ロットを3本ほど買いましたが、プラスチックストックのウッド柄はどうも安っぽく、結局はゲームに使わずにCAW製のウッドストックに交換してしまいました。余ったウッドストックは当時特殊部隊が行っていた塗装ストックにして使いました。
さて、本題のファイバーストックモデルですが今回は新たに購入したもので購入日は2015年5月です。前述していますが新品です。
◆参考品東京マルイ M14 CAW製ウォルナットストック装着モデル
U.S. M14 TOKYO MARUI U.S. SPRINGFIELD ARMORY
全長 1127mm 1118mm
銃身長 500mm 559mm
重量 3850g 4500g
材質 アルミ/ダイキャスト
プラスチック他
スチール/単材ウッド
合成樹脂素材
作動方式 AEG
電動エアコッキング方式
Ver7/EG700
ショートストロークピストン
ターンロックボルト
口径 6mm BB 7.62x51mmNATO
装弾数 70/440 20+1/30+1/10+1
セレクター セミオート/フルオート
セーフティ独立式
セミオート/フルオート
セーフティ独立式
平均初速 87-90m/s 850m/s
発売日/製造年 2005年8月 1959年
購入日 2015年5月25日 ---
定価 66150円(税込) ---
購入価格 31946円 ---
コンディション 新品 ---
購入店 ガンショップファースト ---
実銃のM14ですが朝鮮戦争後にM1ガーランドの問題点を解決する為に研究が開始され、本格的なアサルトライフルへの移行を目的に新弾薬なども開発したのですが、いかんせん改良ベースになった銃がセミオート式の古典的なライフルであるM1ガーランドという事で従来の30-06弾を短縮した308ウィンチェスター(7.62x51mm)弾に変更し、クリップ式8発マガジンを20連ボックスマガジンに交換、これにフルオート機構を付けただけの概ねマイナーチェンジとも言える銃でした。同世代のアサルトライフルであるAKシリーズとは大きく特性の異なるアサルトライフルとなってしまったM14ですが、さらに運が悪い事に最初に経験した戦場がベトナム戦争というジャングルと湿気がベトコン以上の敵となる場所でした。唯一のアドバンテージとも言える優れた命中精度と射程距離は密林に阻まれあまり活かすことができず、近接戦に於いてはその全長と重量が不利に働きました。この為、すぐにM16に取って代わられます。木製ストックを持つトラディショナルなデザインのM14から一気に近未来的なスタイルのM16への変更に疑念を持った海兵隊などは初期のM16のトラブルなどからM14をその後も暫くの間だ使用し続けますが、最終的にはM16へ移行します。但し山岳地帯や一部限定的な地域での長距離射撃にはM16は向かず、米軍ではM14にスコープを搭載した狙撃銃をM21として限定的ながら使用しました。ベトナム戦争後も優れたストッピングパワーを持つライフルとして砂漠地帯などを想定した作戦で特殊部隊などで使用が続き、21世紀の対テロ戦争に於いてはアフガニスタンやイラクでその命中精度と本来の長距離射撃能力が見直され、軍の倉庫で保管されていた多くのM14が近代改修されて陸軍や海兵隊、特殊部隊で使用されました。ちなみに製造メーカーはアメリカ軍国営造兵廠のスプリングフィールド造兵廠で、現在M14/M1Aシリーズを作っている民間企業スプリングフィールド社は社名の権利を譲渡されたのみで、直接的な関連はありません。
マルイ製M14のレビューですがまずはパッケージです。ODをベースにしたダンボールケースです。ウッドストックモデルではこのODの部分がブラウンになります。
ケース内部は布製で天板などに発泡スチロールの補強が入ってます。BB弾やマニュアル類は専用のケースに入っていて雰囲気を盛り上げています。
付属品各種。70連マガジン1個とクリーニングロッド、ローダー、マニュアル、BB弾、マズルキャップです。また東京マルイでは数年前から従来のニッカドバッテリーの生産中止に伴い、メーカー純正ニッケル水素バッテリーに移行している為、ラージコネクターからミニコネクターに変更するための変換ケーブルが付属しています。純正ニッケル水素バッテリーは基本的に従来のラージ、ミニ、SD用ミニタイプを1種類のミニタイプに統合し、スティックタイプはそのままニッケル水素版が発売されています。基本全てのニッケル水素バッテリーがミニコネクターになる為、現在生産されているラージコネクターを装備した銃には変換コネクタが付属するようです。
既に多くのユーザーはニッケル水素を通り越してリチウムポリマーなどに移行していると思いますが、マルイでは次世代AEGでもニッケル水素の専用バッテリーなどが出ているのでこれからも安全性の高いニッケル水素でいくみたいです。冬場のパワー低下やトルクの低さなどからどう見てもリポバッテリーの方が有利だと思いますが、家が燃えて文句言われるのも嫌なので防御的措置で妥当だと思います。
本体/実射性能
マルイM14ファイバーモデル本体ですが、M14専用に設計されたバージョン7メカボックスを搭載したノーマルタイプ(旧世代)タイプのAEG(電動ガン)です。独立したピストルグリップではなく、ストックと一体型のライフルグリップを装備した初めてのAEGになります。このメカボックスをベースにスタームルガーのMini14やM1ガーランド、M1カービンなどに発展していくのかと思いきや、バージョンとしてはショートバレルモデルのSOCOMしか発売されませんでした。
M14は旧AEGの中でも後発銃だけあってチャージングハンドルがフルストロークで可動したり、ストックと本体の分解プロセスが実銃を踏襲していたりとかなりリアル志向になっています。フロントサイトは調整可能でリアサイトも実銃同様にフルアジャスタブル。ショルダーレストの展開も可能です。実射性能は500mmのインナーバレルを活かした優れた命中精度があります。スコープなどを組み合わせれば狙撃などに向いていると思います。映画ブラックホークダウンの影響で購入した人も多いと思いますのでセミオートでバシバシと敵を撃ちたい所ですが、トリガープルが異様に重いというか固いです。メカニカルな部分は詳しくないので分かりませんがセミオートのキレを表現したかったのか、かなり指に負担がかかりセミオートで100発も撃てば指が痛くなります。また当然ですがサバイバルゲームに於いては不必要な全長なので、ブッシュの濃いエリアなどでは侵攻に苦労します。フィールドでも歩兵用ライフルとしてよりはスコープを載せた狙撃銃や440連多弾マグと組み合わせた支援火器的な使い方をしている人が多く見られます。というかそれ以外の運用法が見あたりません。ヒストリカルゲームとかでないのなら出番は少なそうな銃ですがもし次世代AEGでリニューアルしてくれれば派手なキックと重いボルトリリースを楽しめる銃になるんじゃないかと思います。出ないでしょうけど・・・初速は初期に生産されたモデルは95前後でモデルによっては現在の法定初速をオーバーするものもあったらしいですが、こちらの個体は87-90前後とおとなしめです。それでも他のマルイ製AEGよりは高めな気がしますが。メカボックスは一度だけ分解しましたがかなり面倒な構造でメンテナンス性は低そうです。
ストックが即座に脱着できる事を利用して塗装したストックやウッドストック、市販のアルミシャーシ系ボディ、ファイバータイプなどに載せ替える事も可能です。但しメーカーによってはモーター角度を変更しなければならないものもあり、中〜上級者向けのストックも多いです。
マルイのM14ファイバーストックモデルですが単にウッドストックモデルをODカラーにした訳では無く、グリップ部分やハンドガード部分にチェッカリングが施されています。この形状はベトナムの湿度によって変質してしまう木製ストックを改善するために制作されたファイバーストックモデルの形状を踏襲しています。但し実銃ではブラウンカラーであり、ODカラーではありません。個人的にはブラウンカラーが欲しかったですが、マルイ側としては同系のウッドストックモデルとかぶるので現用っぽく見えるODカラーになったのかなと思いました。ちなみにファイバーストックモデルと銘打ってますが特別なファイバー素材やシンセティックなどではなく普通のプラスチックです。
手元にプラスチック製ウッドモデルが無かったのでCAW製のリアルウッドストックとの比較です。色や模様ではなく外観を参考にしていただければと思います。基本的なシルエットは同じですが、チェッカリングの有無と木製ストックにはあるストック中心部の分解用ディスアッセンブリツール用スクリューの有無が差異になります。
次はパーツ毎に外観を見て行きます。
ハイダーはフロントサイトなど細かくパーツが分離しています。フロントサイトは左右に微調整が可能でハイダー下部にはバヨネットラグが装備されています。サイト下部にあるキャッスルナットで本体にハイダーを固定しますが最終的には上部に設置された六角スクリューで固定して回転を防止します。ハイダーの脱着はこの六角のスクリューを外した後、キャッスルナットを緩めていくとハイダーが外れます。ネジは14mm逆ネジになっていてハイダー本体にはネジが付いていない構造です。ハイダーを外せば各種サイレンサー等装着可能になります。
バレル後方はガスブロックでこちらも比較的多めのパーツで構成されています。バレルからガスを引き込むガスブロック、ガスピストン、ハンドガードとストックを固定する為のキャップ等すべて金属パーツです。
ストック前方。ハンドガードは一般的には濃いブラウンの合成素材なのですがなぜかウッドタイプ、ODタイプ共に黒となっています。スイベルはストックに対して内部と外部から金属板を挟み込む構造なのでそれなりに強度はあります。ファイバーストック前方にはウッドタイプにはないチェッカリングがあるのが特徴です。
このハンドガードが何故黒いのか謎ですが、M14の資料を調べてみたところ、ごく初期のM14は溝のない木製の上部ハンドガードを使用しており、その後冷却効率の良いスリットが多数入った合成樹脂のブラウンカラーのハンドガードとなりますが、強度不足から穴が塞がれ写真の形になります。但し色はブラウンカラーが一般的です。資料によると一部に黒やカモフラージュカラーのハンドガードもあった様ですが、ここはごく一般的なブラウンカラーにして欲しかったです。せめてウッドバージョンだけでも。
ストック中央部左側面です。上部には金属製レシーバーが載っています。側面にあるスリットと穴はスコープマウントベースを装着する為のものです。その右にはボルトリリースがあります。マガジンは前方を引っかけてから後方を押し込むAKと同じ方式でマガジンキャッチもAKと同じ様な位置に配置されています。実銃の装弾数は20発ですがマルイ製では70発タイプと440連マガジンが選択可能です。グリップ部分にもチェッカリングが施されています。トリガーガードは分解時のロックパーツも兼ねています。トリガーガード前方にあるのがマニュアルセーフティで、セレクターとは別の配置になっています。この辺はまだ旧世代の銃の構造を引きずっています。
リアサイトはフルアジャスタブルで左右のダイヤルを使いエレベーションとウィンテージの調整が可能です。リアサイト前方のブロックはマガジンを装填したまま上から専用の給弾クリップで5発に束ねられた実弾を流し込むガイドレールになっていて、銃をホールドオープンさせガイドレールにクリップを載せることで上からマガジンへ装填できます。この辺のシステムは第二次世界大戦中の銃器が上部装填式が一般だった時代の名残です。同時にマガジンを大量に持って運用する能力のない第三国に販売するときにも安価なクリップに束ねた弾薬5発と銃本体にマガジンが1個あれば戦闘を継続できるという点でコスト的なメリットがあります。こちらのブロックは実銃同様脱着が可能で、スコープマウントベースの後方を脱着後に現れた溝に噛ませて固定する為にも使えます。M14の基本的なマウントベースの多くはこの部分と前方のスクリューホールを併用しマウントベースを固定します。
マガジンハウジング内も金属製で給弾口とホップダイヤルがあります。ホップダイヤルは後発のメーカーですとボルトカバーを開放させた位置に作っていますがマルイではマガジンハウジングの先端に配置されています。目立たないので良いのですがホップ調整に毎回マガジンを外さなければならないので面倒です。またチャンバー内の残弾が5発程度あるのでそれが全部こぼれてしまい勿体ない気もします。一応マガジンを装填しても僅かにダイヤルが見えているので細いドライバー等あればマガジンをつけたままダイヤルを回すこともできなくはないです。
レシーバー上部。リアサイト後方には刻印とシリアルナンバーがあります。刻印の右脇にあるレバーがセレクターで射手から見て無印の面がセミオートポジション。Aと刻印されていればフルオートポジションになります。写真の状態はセミオートです。回転式セレクターで硬めです。近代的なアサルトライフルと違いグリップ近くから即座に射撃モードを変える事ができないのでゲームで使うならセミオートで使うよりフルオートでバースト撃ちの方が良いかも知れません。
チャージングハンドルはフルストロークで可動しますが、次世代AEGではないのであくまでも手で動かして作動音を楽しむくらいです。チャージングハンドルを引くことでボルトカバーも連動して回転しながら後退しますのでモデルガンっぽくてかっこはいいです。ストック前方下部にこれらを動かすためのスプリングやガイドロッドなどが入っているのでその辺も無意味に重量増になっていますがこの銃を使いたい人はその辺我慢できる人だと思います。
フルオート射撃時やオプションのバイポッド(実銃の場合)を装着した際に荷重を分散可能なショルダーレストもライブです。金属製で良くできていると思います。
ショルダーレストを展開するとメンテナンスハッチがあります。バッテリーはここに収納します。コネクターはラージタイプですが、現行モデルはミニコネクターへの変換ケーブルが付属しています。筆者はこの辺の抵抗が増えるのが嫌でヒューズレスにして直接ミニコネクタを付けるように加工しています。
分解プロセスはマガジンを外し、トリガーガード後方にある穴に実弾やツールを差し込んで下方へ引き出すとトリガーガードとマガジンキャッチのユニットが外れます。その後レシーバー側の銃本体を少し前方にずらしてから斜めに持ち上げていけば分解は可能になります。分解の際はセレクターをオートの位置にしないと内部のセレクターバーがぶつかって脱着ができません。
一般的な分解はここまででストックの交換等できると思います。モーター後方にミニコネクタがついているのでストックの機種によってはここに直接バッテリーを付けてしまった方がバッテリー交換がしやすいモデルもあります。(G&P製DMRタイプストック等)。またこのモーターについているコネクタがストックから引き抜く際にかなりの格率で引っかかり抜けないので知恵の輪みたいになります。ストック内部のケーブルは分解途中で外してストック内に残しておいた方が元に戻すときに楽です。
レシーバー上部はほとんどM1ガーランドです。ガーランドの改良型なので当たり前ですが。
モーターハウジングは分解が可能でサードパーティー製のストックに交換する場合こちらのモーターの取り付け角度を変更しなければならないモデルもあります。
最後にちょっとした小技ですが、これも発売時に流行したので既に知っている人ばかりだと思いますが掲載しておきます。M14のボルトストップ/リリースボタンは独立した形状で可動しそうな設計な上、スプリングまで入っていますが、何故かパーツの内側に突起が付いていて動かないようにしてあります。この突起を削るだけでボルトが後退位置で固定できます。
なぜやらなかったのかは推測ですが、これで遊びすぎるとボルトリリース側とボルト側が摩耗してそのうちロックがかからなくなる点やボルトのリターンスプリングが比較的強烈でボルトの重量もある事から開放状態なのを忘れて指などを挟んで怪我をする事を懸念したのかなと思います。この改造をしてもうまく作動しなかったり、すり合わせが必要だったりする個体もあると思うので実行するなら自己責任でお願いします。

基本的にポンチ等でボルトリリースの固定ピンを抜いて分解。ヤスリ等で突起を切除し元通りに組み込むだけです。シャフトの脱落防止のスリットがある方が前側になります。シャフトは後方へ向けて取り外しを行い、戻すときは後方から差し込んで元に戻してください。
ボルトキャッチ/リリース加工後。通常状態。
ボルトキャッチ作動状態。チャージングハンドルがほぼ最大位置まで後退して固定できます。固定法はチャージングハンドルを後方まで引き、ボルトリリース/キャッチボタンを押します。押しっぱなしにしたままでチャージングハンドルを1mmほどゆっくり前進させるとボルトリリース/キャッチボタンの端にボルトがぶつかって停止するのでそのままゆっくり手を放します。ボルトをリリースしたい場合はチャージングハンドルを再度後方へ引くとボルトリリース/キャッチボタン内にあるスプリングのテンションでボタンが元の位置に戻りカチっと音がするのでその時点でチャージングハンドルを放せば元に戻ります。但しほんの僅かな面積で固定されている為、ちょっとした衝撃や何もしなくてもリリースされてしまう場合があるので気をつけてください。ボルトリリース/キャッチボタンを上方向に持ち上げることでもリリースできますがその場合徐々に開放される為、固定箇所同士が摩耗してしまうと思います。
ホールドオープン状態を上から。特に実弾とか実物マガジンのフォロアーが見える訳では無いので感動はありませんが。以上でマルイM14のレビューはおしまいです。