DCU
DESERT CAMOUFLAGE UNIFORM
3 COLOR DESERT CAMOUFLAGE PATTERN
EXPERIMENTAL MODEL
COAT & TROUSERS
1990
DCU(DESERT CAMOUFLAGE UNIFORM)はDBDUに替わってアメリカ軍に制式採用された新型の砂漠用カモフラージュユニフォームである。DBDUに採用された6カラーのカモフラージュパターンはアメリカ南西部の砂漠地帯をモデルに開発された6色の迷彩服であったが、中東の砂漠の砂の色とは大きく異なっていた。また濃い茶色や黒の部分は熱を多く吸収し、兵士に大きな負担となっていた。さらにコスト面でも色数の多いDBDUは不利だった。湾岸戦争に於いて大量に使用されたDBDUはこの問題を解決できず、この為アメリカ軍では新型カモフラージュパターンの制作を行った。研究の結果、砂漠の砂の色は含有するミネラル成分や太陽光線の加減などにより、青からピンクの範囲で多彩な変化を見せる事が判明した。この結果製造されたのがライトタン、パールグリーン、ブラウンの3色を使用したDCUであった。
 DCUは1992年に制式採用され、米軍全軍で使用された。DBDUと比べて色数が3色と少なく3カラーデザートカモフラージュと呼ばれていた。また兵士たちは服に染みたコーヒーの様に見える事からコーヒーステイン(coffee stain camouflage)と呼んだ。DCUは当初コットン100%のリップストップ生地を使用したモデルとナイロン/コットンブレンドのノンリップタイプが製造された。しかしリップストップモデルは中東の強い太陽光線により、肌が格子状に日焼けするなどいくつかの不具合が発生した為、すぐに生産を中止した。この為90年代初頭のモデルの多くはノンリップタイプが使用されている。DCUは1991年の湾岸戦争の終盤に僅かに支給が行われたものの、終戦には間に合わず支給はごく一部の部隊に限られた。また3カラーカモフラージュパターンの装備品も生産されたが、これらも殆ど支給されなかった。1993年頃には新型のエンハンスドタイプのBDUが支給されるとDCUもこれに合わせた改良が施された。1995年頃からはナイロンとコットン混紡のリップストップタイプのDCUに生産が移行し、その際にも改良が行われた。2003年頃からはデザートタイプのユニフォームでは一貫して大きいサイズであった襟のカットをEHWBDUなどに見られる小襟のタイプに変更して生産を行った。
 DCUが本格的に使用されたのは1993年のソマリア派兵で、レンジャー部隊やデルタなどが着用していた。その後DCUはアフガニスタンに於ける対テロ戦争、イラク戦争の初期の段階で使用された。しかしアメリカ海兵隊が2001年6月にMCCUUを採用し、2004年10月1日に移行が完了した。またアメリカ陸軍もUCP(ユニバーサルカモフラージュパターン)を使用した新型戦闘服ACUを2005年に採用した事から急速にその姿を消した。この事から対テロ戦争では海軍特殊部隊、陸軍特殊部隊、空軍特殊部隊など一部の特殊部隊がDCUを使用するのみとなり、2012年現在これら部隊も新型迷彩服に移行しつつある。

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COAT EXPERIMENTAL MODEL
DCUは設計当初100%コットンのリップストップ生地を使用したモデルを試作した。基本的に1985年から使用されているBDUのHOT WEATHERモデルを踏襲したデザインで、DBDUの初期、中期モデルと同様に背面の裏地に二重クロスが配置されている。ポケットもHOT WEATHER BDUと同じ配置だが、ドレーンホールは省略されている。またDBDUでは襟のカットが最終モデルまで大きいものであったが、このリップストップモデルのDCUでは中期BDU以降に見られる小襟のカットになっている。
ライトタン、パールグリーン、ブラウンの3色を使用した3カラーデザートカモフラージュ。採用当初はDBDUと区別する為にラベルに(3color)の表記が存在した。その独特のデザインからコーヒーステイン(coffee stain camouflage)、トライデザート(TRI DESERT)と呼んだ。また、単にデイデザートと呼称する場合もある。
ラベルの配置はBDU、DBDUに準じる。初期に生産されたリップストップモデルのDCUにはHOT WEATHERと(3COLOR)の表記が存在する。また100%コットン生地で生産されていた事がわかる。
背面の裏地は初期、中期のDBDUで採用されていた二重クロスを採用し、太陽光線への対策としていた。しかしコットン100%で制作されたリップストップ生地では良好な成果は得られなかった。
襟のカットは中期型以降のBDUと同じく小さいカットになっている(写真左)。ポケットの配置はBDUと同様でCARGO LEFT BREAST,CARGO LOWER LEFT FRONT, CARGO LOWER RIGHT FRONT, CARGO RIGHT BREAST。
左胸のポケットはペンポケットを内蔵し、フラップは一部貫通式のデザインになっている。
CARGO LOWER RIGHT FRONT(写真左) CARGO RIGHT BREAST(写真右)。共にドレーンホールは省略されている。
ウエストストラップは中期型BDU(TWBDU/HWBDU)と同じ構造で二段階に調整が可能。ウエストストラップが設けられているのは全DCUモデルのうちこのリップストップモデルだけになる(写真左)。スリーブにはエルボー部分にパッチがあり、その他デザインはHOT WEATHER BDUと同じ(写真右)。
TROUSERS EXPERIMENTAL MODEL
DCUリップストップモデルのトラウザースは基本的にHOT WEATHER BDUと同じ構造をしている。素材はリップストップ100%コットンを使用し、膝と臀部にそれぞれ補強パッチを施している。HWBDUとの違いはボタンフロント部分にカバーフラップが存在しない点で、この点はDBDUを踏襲している。
ラベルの配置はBDU、DBDUに準じる。初期に生産されたリップストップモデルのDCUにはHOT WEATHERと(3COLOR)の表記が存在する。また100%コットン生地で生産されていた事がわかる。
ファスナー部分はボタンフロント。HWBDUと同じデザインでありながら通気性を優先した為かカバーフラップは省略されている。
後部レイアウトはHWBDUと同じデザイン。
膝部分には補強用ニーパッチとストレッチ用のマチが設けられている。