DCU
DESERT CAMOUFLAGE UNIFORM
3 COLOR DESERT CAMOUFLAGE PATTERN
COAT & TROUSERS
1997-2002
DCU(DESERT CAMOUFLAGE UNIFORM)はDBDUに替わってアメリカ軍に制式採用された新型の砂漠用カモフラージュユニフォームである。DBDUに採用された6カラーのカモフラージュパターンはアメリカ南西部の砂漠地帯をモデルに開発された6色の迷彩服であったが、中東の砂漠の砂の色とは大きく異なっていた。また濃い茶色や黒の部分は熱を多く吸収し、兵士に大きな負担となっていた。さらにコスト面でも色数の多いDBDUは不利だった。湾岸戦争に於いて大量に使用されたDBDUはこの問題を解決できず、この為アメリカ軍では新型カモフラージュパターンの制作を行った。研究の結果、砂漠の砂の色は含有するミネラル成分や太陽光線の加減などにより、青からピンクの範囲で多彩な変化を見せる事が判明した。この結果製造されたのがライトタン、パールグリーン、ブラウンの3色を使用したDCUであった。
 DCUは1992年に制式採用され、米軍全軍で使用された。DBDUと比べて色数が3色と少なく3カラーデザートカモフラージュと呼ばれていた。また兵士たちは服に染みたコーヒーの様に見える事からコーヒーステイン(coffee stain camouflage)と呼んだ。DCUは当初コットン100%のリップストップ生地を使用したモデルとナイロン/コットンブレンドのノンリップタイプが製造された。しかしリップストップモデルは中東の強い太陽光線により、肌が格子状に日焼けするなどいくつかの不具合が発生した為、すぐに生産を中止した。この為90年代初頭のモデルの多くはノンリップタイプが使用されている。DCUは1991年の湾岸戦争の終盤に僅かに支給が行われたものの、終戦には間に合わず支給はごく一部の部隊に限られた。また3カラーカモフラージュパターンの装備品も生産されたが、これらも殆ど支給されなかった。1993年頃には新型のエンハンスドタイプのBDUが支給されるとDCUもこれに合わせた改良が施された。1995年頃からはナイロンとコットン混紡のリップストップタイプのDCUに生産が移行し、その際にも改良が行われた。2003年頃からはデザートタイプのユニフォームでは一貫して大きいサイズであった襟のカットをEHWBDUなどに見られる小襟のタイプに変更して生産を行った。
 DCUが本格的に使用されたのは1993年のソマリア派兵で、レンジャー部隊やデルタなどが着用していた。その後DCUはアフガニスタンに於ける対テロ戦争、イラク戦争の初期の段階で使用された。しかしアメリカ海兵隊が2001年6月にMCCUUを採用し、2004年10月1日に移行が完了した。またアメリカ陸軍もUCP(ユニバーサルカモフラージュパターン)を使用した新型戦闘服ACUを2005年に採用した事から急速にその姿を消した。この事から対テロ戦争では海軍特殊部隊、陸軍特殊部隊、空軍特殊部隊など一部の特殊部隊がDCUを使用するのみとなり、2012年現在これら部隊も新型迷彩服に移行しつつある。
COAT DCU NR 1997-2002 MODEL
1997年以降のリップストップモデルはEHWBDUと同じデザインとなっているが、これまでのデザートユニフォーム同様に襟が大きいカットになっている。素材はナイロンとコットンの混紡でポケットの配置、形状もEHWBDUと同様。
ラベルの配置もDBDU、DCUに準じた配置。1995年頃から従来のDBDUと区別する目的で記載されていた(3 COLOR)の表記が無くなっている。
CARGO LOWER FRONT
ポケットはエンハンスドモデルのBDUに準じたデザインでマチの少ない簡略化されたデザインになっている。

TROUSERS DCU NR 1997-2002 MODEL
1997年以降のモデルは1995年のリップストップモデルと比較してシートパッチ、ニーパッチが加えられている。ポケットの配置、素材に変更は無い。
ラベルの配置もDBDU、DCUに準じた配置。1995年頃から従来のDBDUと区別する目的で記載されていた(3 COLOR)の表記が無くなっている。
ボタンフロントファスナー(写真左)はカバーフラップの無いタイプ。後部はシートパッチが追加されている。
1994年ノンリップモデル(下)との比較。ポケット部分の縫製(A)とベルトループ周辺の縫製(B)が異なる。
ニーパッチはマチの無いデザインになっている。